故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

想像力とリアリティー

2015-12-04 11:48:19 | プロジェクトエンジニアー
  
リアリティーは想像することから生まれる。
NHKの朝の番組に山田洋次監督が出演され言っていました。
映画は、架空の世界です。誰(役者、観客)も見たことが無いドラマを作るのです。
リアリティーがあれば、作り手の訴えたいことが見る側に
より伝わると言われたように思います。

山田監督の話は、日常でも役に立つと思いました。
生き方にリアリティーを持たせるのです。

私が参加したプロジェクトのうち、
型通りに進めたプロジェクトは、記憶に残っていません。
ある時、限られた時間で進めなければならない仕事がありました。
架台の上に、機械を設置して電気、集塵ダクトを通す仕事でした。
私は、登場人物(各業者)が登場する2週間分の工程表を作りました。
受注された業者に受注後集まっていただきました。
各業者を紹介し、やるべき仕事を説明しました。
この時、こうして欲しいと要望を出しました。
レッカーを見積もっていた業者は、3社あり一台で良いと説明しました。
図面(配置図、断面図)とにらめっこしながらのシミュレーションでした。
架台を製作する業者には、工事の進捗に合わせた分納をお願いしました。

不思議なことが起こりました。
業者間で、仕事の調整を始めだしました。
始めてから約3時間後には、皆さん自分の役割がわかり工期は4日間短縮されました。

私の詳細な説明と要望には、リアリティーがあったのです。
皆さん、百戦練磨のつわもの揃いです。
私は、施工工程表と図面で説明しただけでした。
業者の方々は、自分の役割を把握し、他業者の仕事の進行具合が想像できたのです。
自分勝手に進めるイメージでいた各業者は、互いに協力する姿勢に変わりました。
工事前のシミュレーションは、成功しました。

業者発注で絞り切った後は、業者に工夫で返そうと私は常々思っています。
レッカーは2台キャンセルとなりました。工期も短縮できました。

その後、そのシミュレーションの工夫は見積もり時に生きました。
各ステージ(仮設、搬入、建設、試運転)における各社の仕事を一覧表に
しました。見積もり落ちがないようにするためでした。
これも受けました。仕事に対する各業者の理解の進行具合が早かったのです。
余計な心配(予備費)を盛り込んだ見積もりは出てきませんでした。

さて、私達の私生活でも想像力を働かせて
リアリティーを持った生活は出来ないでしょうか。
生き方にリアリティーを持たせるのです。

想像力を働かせて、リアリティーを持つ意識をするだけで、
生活態度が変化すると考えます。
想像は疑問を持つことから始まります。
決まり切ったことと教えられてきたことに疑問を持つのです。
誰が、いつ決めたことなのか。なぜそうなったのか。
深く知ることで、決まりきった生活にリアリティーが生まれてきます。
人の所作には、意味があるのです。
それぞれの人に理由があるのです。

なにげない細かいことに注意が行くようになります。
あの人は、今日は機嫌が悪い、この人は眠そうだとか。
何があったのかな。

いろいろと感じることの深読みが始まるのです。
気に入らない上司が、今日もなんか変なことを言っています。
早く終わらないかな。
私は、次にどんなに酷いことを言うのか、するのか待っています。
いつか小説の種に使ってやろうと思っているからです。

想像力を働かせるようになると、視点が変わってきます。
いろんな角度から見る癖が付いてくるのです。
時には180度見る位置が変わり、相手の気持ちが分かるようになるのです。
想像力が研ぎ澄まされると、予知力がついてきます。
ここでも人生が楽しめるのです。
おおっ咳払いをしたから、なんか嘘が潜んでいるんじゃないかとか。
当っても、当たらなくても楽しめるのです。
要素が一つ加わったのです。次はさらに当る確率はあがるのです。

想像力を働かせると、生き方に陰影と強弱が付くようになってくるのです。
まんざらでもないな。
リアリティーがあるから、地に足がついた生活ができるようになるのです。
自分に対しても冷静に見られるようになるのです。
真剣に生きるようになるのです。

リアリティー。
いつもの何気ない行動にその人なりのこだわりがあり、意味があるのです。
知らないことに対し、想像力を働かせることで豊かになるのです。
人にも優しくなれるのです。

赤ちゃんの 泣き声一つ 母わかる

2015年12月4日

コメント
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