一人では何もできぬが二人なら

〈街角の風景〉
手袋の片方が落ちている。
冬場にはよく見かける風景である。
不思議なことに、落ちているのはいつも片方。
両方一緒に落ちていることはめったにない。
いや、不思議ではないのかもしれない。
いずれにせよ、片方が落ちたところで手袋の役目は終わる。
時折、脇のフェンスなどに掛けてあるのも見かける。
元のパートナーと無事に巡り合うといいのだが。
もしかしたら物凄く大切な、思い出の手袋かもしれない。
かと言って、交番に届けるのもちょっと考えてしまう。

子どもの頃は、落とさないようにと毛糸のヒモで両方つないで首から掛けられたのを思い出した。
今はそんな子は見かけない。
斬新なファッションのようにも思うのだが。

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