元ラーメン屋店主のツイート集

ラーメン屋を10年経営し、今は閉店し、介護士をしています。

美味しいコーヒーの真実

2010年06月10日 | 映画レビュー
昨日、フジテレビの「とくダネ」で、築地の仲買人が商売が成りた
たず相次いで廃業しているニュースをやっていました。

漁師側も、買い叩かれて利益を生まない市場出荷より、中間を通さない
スーパーや魚屋や料亭などと直接取引の方が、利益が出る為、中間業者は
縮小傾向にあります。

食料品は30年前の物価で、衣料品や家電品などは今の方が安いです。
デフレ時代ゆえ、大手のスーパー等は、価格を極限に
抑える為に、中間をなるべく省き、製造工場や、契約農家や、PB商品など、
直接交渉をし、バイヤーはとにかく買い叩き、同業他店より安い価格で
小売戦国時代の顧客争奪戦をしています。

今の流通の仕組みでは、何処かに歪が出ます。

日本の労働者を見ても、コストダウン、スリム化などで、高品質・低価格
を実現出来ないと何の業種も生き残れません。結果、従業員は、労働量に
見合わない低賃金で働き、劣悪な環境であっても解雇を恐れストライキも
起こせず、人間としての尊厳を見失って、ワーキングプアでも仕事がある
だけまだマシという時代です。

この「美味しいコーヒーの真実」というドキュメント映画は、エチオピアの
コーヒー農家が貧困に追いやられた流通の仕組みを映し出しています。
先進国のステータスや嗜好品の為に、発展途上国は奴隷みたいな仕事を強い
られています。タバコ農家もそうですし、毎日毎日必死に働いても、粗末な
ご飯すらもままならず、救援物資の支給に頼らなければ生きていけない人達
ばかりです。

以前、見たドキュメント映画「ダーウィンの悪夢」という映画では、アフリカで
貧しいながらも水産や農業で自分達が食べる分だけは賄えていた村に、先進国
が外来種の肉食巨大魚を放ち、水産加工を村の産業にさせました。その村の
人は全て、その巨大魚の捕獲、加工、出荷に携わり、その村の、数人だけが
富を得て、大多数は飢餓の状況に追い込まれました。巨大魚のせいで
自分達が食べる魚や海藻は捕れなく成り、加工場のせいで村の農業は無く
なった為、極限の貧困化しました。その、巨大魚は、先進国の出荷用であり、
アフリカ人が食べる事は許されていないのです。その、巨大魚とは、
お惣菜、弁当、冷凍食品の「白身フライ」と言われるものの殆どです。
出荷先の殆どが日本に入ってきていますが、日本の一般消費者はそれを
知りません。

先進国は格安商品慣れをしていて、生産者の貧困など考えていない人が多い
です。世界同時大不況で益々、世界的弱者を残酷にタダ働き同然にしても、
消費者ニーズに合わせ流通ゆえ、僕達も加害者なのです。

発展途上国に仕事を教え込み生産品を世界中で販売してあげます、と、
救世主ぶった先進国が、結局は自社、自国の利益だけで、生産者が
どんだけ困窮しようと、死のうとお構いなしです。

消費者売値の1%ほどしか生産者に入らないのを暗黙の了解にしている
非人道的な弱肉強食なビジナススタイルがまか通っている限り、世界平和
や平等などありえません。

ここ数年は、地球環境に配慮した「エコ」思想が普及していますが、
人間同士が互いに支えあい、皆が幸福になれる地球共存意識のほうを
深めた方がよりよい世界になれると思います。

まず、世界で起こっている現実をこのような映画で知り、考え、周囲と
話し合う事から、世界は変わっていくと思います。

この映画でも、描かれていますが、コーヒー農家は、コーヒーでの利益を
得れないので、麻薬を生産している農家も多いです。貧困の生活を見せつ
けられたら「生きるためには仕方が無い」とも思えますが、それを正当化
すると、あらゆる犯罪も正当化する事に成り、自分の都合で犯罪に手を
染めるのを「仕方が無い」という恐ろしい社会に成ります。

貧困率と犯罪率と自殺率は比例するので、搾取しまくり一部の富豪を生み
出すようなシステムが無くならない事には、理想的な世界には成りません。