久々なので、この連載「RAINBOW ROAD」が
何なのか簡単に説明します。
何故、僕がラーメン屋を開業したのか、開業までの
エピソードなどを書いています。忘れないうちに
書き留める事と、回想する事で初心に戻る意味で
不定期連載をしています。
今回は、いよいよ具体的な開店準備の頃の話を
します。
父の説得も成功し、具体的に行動しだした当時の頃
の事です。
事業計画書を全て見直し、徹夜で修正作業をしました。
この頃「様式美麺れいんぼ~」という屋号を決めました。
僕は「○○亭」「○○屋」「○○軒」とか、平凡なラーメン
屋らしい名前だけは止めようと決めていました。
ラーメン屋ですが、僕の気持ちは「ニッチビジネス」
「隙間産業」「ベンチャー・ビジネス」の起業家の気分
でした。簡単に言うと革新店にしようと意気込んでいました。
大企業、大手は大衆向けの無個性な商品、サービスを提供し
ています。いわゆる、万人ウケです。でも、僕はこれからの
時代は「プレミア感」こそ価値あると信じて疑いませんでした。
流行に流されない独自性の価値観で運営している特殊なラーメン
屋は、潜在的需要や新奇好みの人に受け入れられると信じて
いました。
一般ノウハウ型やマニュアル型の店に飽き飽きしている潜在需要
があると信じていました。でも、今まで無いスタイルの店というのは
かなり危険も伴います。安全商売を考えていたら絶対に手を
出してはいけない分野です。でも、僕しか出来ない、僕しかやら
ない、僕の色を全面に出した店は、従来型店へのアンチテーゼ
でした。型破りな個性店は、都会では成功の策略ですが、田舎では
敬遠されるのがビジネス・セオリーです。でも、僕はビジネス・
セオリーの逆風に立ち向かう道を選びました。
薄利多売の飲食業では集客率が全てですが、僕は100人の客が
1回来る店より、10人の客が10回来る店が作りたかったです。
あえて、少ない需要をターゲットにしました。でも、この綱渡り
商法はリスクがかなり高いです。飲食業は、3年以内に閉店する
店が80%~90%です。要するに、飲食業は競争率が最も高い
分野だけに独立開業は非常に危険です。開業する人はみんな腕に
自信がある人達ばかりです。それに、老舗クラスが強い業界だけ
に、独自のニューウェーブスタイルに賭けるしかありませんでし
た。
多分当店は、一般的なラーメン屋や、普通のトンコツラーメンが
好きなお客様には合わない店だと思います。でも、大企業、大手、
大資本がラーメンブームに乗って参入してきたからこそ、僕は
大量生産、マニュアル型の画一サービスでは出来ない、個人店
ならではのフリー・スタイルさを全面に出そうと決めました。
ラーメン屋は数あれど、僕が作りたいラーメン屋は特殊スタイル
だから、他に競合店が居ない、ある種「独占企業」だと思って
います。そういう意味で「何じゃこりゃ?」と度肝抜くような
名前で、呼びやすい屋号が必要でした。
今は覚えていませんが、確か30個ぐらい名前の候補を挙げて
いました。僕は占い、迷信、ジンクス、縁起担ぎめいた物には
興味が無いので、画数などどうでもよかったです。ただ、僕らし
い物を突き詰めた結果「ハードロック&ヘヴィ・メタル」に
行き着きました。
僕は中学1年でハード・ロック/ヘヴィ・メタルに目覚めて
熱い青春を送れました。もし、ハードロック/ヘヴィメタルに
巡り合わなかったと思うとゾッとします。どんなに辛いことが
あってもハードロック/ヘヴィメタルを聴いたり、ギターを弾い
たりで随分助けられました。ハードロック/ヘヴィメタルを
聴き、ヘヴィメタル雑誌を読み、友人とヘヴィメタルについて
何時間でも語り合い、自分で作詞・作曲し、バンドでドラムを
演奏し、ライブでアグレッシブに演奏し・・・と、ハードロック/
ヘヴィメタルに関する事をやっている時が一番楽しく、一番幸せ
でした。中学時代から僕の頭の中はハードロック/ヘヴィメタル
の事でいっぱいで、ハードロック/ヘヴィ・メタルは生きがいで
あり、僕の人生そのものでした。
僕が店を作るなら「ハードロック/ヘヴィメタル」を切り離す
事の方が不自然です。だから、自然な流れで屋号は「曲名」か
「バンド名」と決めました・・。
中学1年から今でも最も好きなギタリストは「リッチー・ブラッ
クモア」です。「リッチー・ブラックモア」の演奏、作曲、パ
フォーマンスはもちろん、人生哲学、思想も僕に多くの影響を
与えました。クラシック音楽のオマージュや、作曲理論、
演奏にまでもクラシックの要素が垣間見れ、後にブームになった
ネオ・クラシック・スタイル、シンフォニック・メタルの基礎を
築きました。また「リッチー・ブラックモア」率いる「レインボー」
の特徴とし、メンバー交代を12回もし、自らの求める音楽の為に
容赦なく厳しく、音楽スタイルもアルバム毎に大きく変貌していき
ました。
僕は、最初から店の味について「味を変える必要性があれば変える」
と決めていました。常に自分が納得いくスタイルで、今作れる最高
の物を出したいと思っていました。レシピや味を守り抜く事よりも、
常に進化し続ける店を目指しました。そういった姿勢は「レインボー」
に近いと思い、願わくば「レインボー」のような偉大なる革新なバンド
とし功績を残したいとも思い、屋号は「RAINBOW」にしました。
唐津市のシンボルでもある「虹の松原」ともかけています。
でも「RAINBOW]では、子供さんとかは読めないと思い、
「レインボー」にしました。でも、もっと軟らかい雰囲気を出す為
平仮名で「れいんぼ~」で、ほぼ決定しました。
もっとカッコよさを付けたく「HMれいんぼ~」としようか?とも
思っていました。HMは「ヘヴィメタル」という意味と、僕の
イニシャルがH.Mだから、なかなかいいとも思っていました。
でも、漢字が欲しくなり、雑誌で「レインボー」の記事に必ず
付けられる「様式美」を付ける事にしました。「ネオクラシック・
ハードロック」は別名「様式美系ハードロック」と言われています。
そして、ラーメン屋だから漢字で書いた「拉麺」の「麺」を取り、
「様式美麺れいんぼ~」にしました。
この「様式美麺れいんぼ~」という屋号が決まった事で、一気に
開業プランが現実味をおび、メニューや内装や外装のアイデアが
出てきました。