古代日本国成立の物語

素人なりの楽しみ方、自由な発想、妄想で古代史を考えています。

名古屋市博物館

2018年05月20日 | 博物館
名古屋出張の機会を利用して名古屋市瑞穂区にある名古屋市博物館を訪問。「尾張の歴史」をテーマに名古屋市内の古代から近代までの考古資料および歴史資料を展示する市立の大きくて立派な博物館です。

地下鉄桜通線の桜山駅から5分ほどで到着。


正面から見ると大きさがわかる。


見学途中で「ボランティアガイドによる展示説明を希望する人は受付に集合してください」という館内アナウンスがあったので、参加することにした。集合したのは私ひとりだけ。ガイドはおばさんが二名。明らかに一人が新人で、後ろからもう一人のベテランガイドがサポートするという体制で始まったが、このベテランガイド、やたら詳しくて私の質問に的確に答えてくれた。このベテランを頼りにしようと思っていると、すぐにおじさんの見学者が加わってきて、このベテランを独り占めしてしまった。結果、私が新人ガイドをガイドする形になってしまった。

旧石器時代の展示を見ながらベテランが教えてくれた。この一帯から出る黒い色の打製石器は他の地域で見られるサヌカイトや黒曜石ではなく「下呂石」というらしい。下呂温泉の下呂。下呂石とは初めて聞いた。勉強になった。

黒いのが下呂石。


縄文人骨の本物もあった。複製ではありません。


全国でも珍しい舟形木棺。弥生中期の方形周溝墓から出たもの。わずかに人骨が残っていました。


S字状口縁台付甕は東海地方に多い土器で、外来土器が多く出た纒向遺跡にも持ち込まれている。口の縁がS字状になっていて上に土器を乗せると蒸気が逃げないように工夫されている。実物を初めて見た。近くに寄ってみるとたしかに縁がSの形をしているのがわかる。真ん中の黒い大きい土器です。


中段奥の丸窓付土器もこの地方特有の土器。この穴は何のためにあるのだろうか。新人ガイドのおばさん曰く、「花瓶として使われて、この穴からも花を活けたのではないでしょうか」。解明されていない以上、「そうかもしれない」としか答えられなかった。


パレススタイル土器。弥生時代後期の尾張地方を代表する赤い土器。ギリシャのクレタ島から出土した「宮廷式土器」にも匹敵する美しさからパレススタイルと呼ばれる。赤い色はベンガラで着色されている。


名古屋市守山区にある志段味(しだみ)古墳群にある白鳥塚古墳は4世紀前半(古墳時代前期前半)に築造された尾張で最初の前方後円墳。纒向にある行燈山古墳(崇神天皇陵に治定される)と相似形をしていて同じ設計図で造られたという。


古墳時代の展示はこんな感じ。


旧石器時代から古墳時代までの展示は全体の3割もなかったように思うが、時間と興味の関係で中世以降の展示はパスしました。新人ガイドさんに「ここまででいいです。ありがとう。」とお礼を伝えて、最後に「もう一人の方は学芸員さんですか」と聞いてみたところ、「あの方もボランティアガイドです。もう何年もやっていて大変詳しいです」とのことだった。

博物館の運営にボランティアガイドは欠かせない存在になっているが、わずかでもいいので報酬を支払うことはできないのだろうか。学芸員の資格を取ってその後もさらに勉強を重ね、70歳くらいになったらガイドをしてみたいという気持ちがあるものの、無給はいやだな。
コメント
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