hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

Skin

2012年07月11日 | 映画
 アパルトヘイト下の南アフリカで、白人の夫婦の間に生まれたサンドラは褐色の肌とカーリーヘアーを持つ。
 両親は驚きながらも、そして周りの好奇の目にさらされながらも、サンドラを白人の子供として誇りを持って育ててきた。
 10歳になったサンドラは兄のレオンと同じ全寮制の学校に送られることになったが、そこでは肌の色を理由に差別を受ける。さらには有色人種とされ学校を退学させられる。
 激怒した父親はマスコミを使い政府を動かすことにする。何度も何度もその見た目だけで判断され有色人種のラベルを貼られながらも、最後には白人として認められる。
 しかし父親の努力の末、ペーパー上白人と認められても白人社会の中に自分の居場所を見つけられずにいたサンドラは黒人青年と恋に落ち、両親の元を去っていく。ところがそこでも・・・・・

 これは実話を元に作られた映画です。
 最初から最後まで、父親の思い、母親の思い、サンドラ自身の思いが痛々しい。
 「あるがままの娘を社会が受け入れる」こを願いその実現に必死なのではなく、あくまで社会が彼女を白人として受けて入れることを求めている事実に観ている者は少し戸惑うだろうと思う。せめて母親だけでも「もういいじゃない」と父親に話してくれるかと期待したけれど、それはこの時代には難しかったのだろう。今でこそ「あるがまま」を受けていこう、なんて言える社会だけど、この頃は不可能に近い。
 アパルトヘイトが廃止になったその時、サンドラは「I am happy for the country. But it's too late for me.」というコメントをテレビのインタビューでしています。
 父親とは絶縁したまま死に別れ、兄と弟は今でもサンドラと連絡をとることを拒んでいるそうです。きっと絶縁したとはいえ彼女のことばかり気にかけているまたは後悔している両親との関係が上手くいかなかったのかもしれません。
 アパルトヘイトは制度が廃止されても、まだまだ深い傷を人々に残したままです。

 映画自体の作りに関しては、いくらでももっとよくできたのでは、という感じで、けして良いとは言えないでしょう。
 3 out of 5 でも出演者全員とてもいい演技をしています。

 彼女 Sandra Laing に興味のある方は、映画よりもこちらの本の方が興味深いかもしれません。私は高くて買えないので読んでいないのにお勧めしていますが・・・・
 
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