『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  95

2011-06-06 06:40:04 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 今日は、用材の伐りだしに出向いている者たちの帰りが遅れていた。彼らが砦に帰りついた頃は日はすでに暮れていた。オロンテス以下、一同をパリヌルスらが北門に出迎えた。
 『お~お、オロンテスご苦労、今日は遅かったな、何か不測のことでもあったのか。アレテス、ギアス、アカテス、お前たち、そして、一同ご苦労であった。お前らちょっと沈んでいるな、何かあったのか』
 『え~え、ちょっとの不注意から、けが人二名を出しました』
 アレテスが報告した。
 『判った。直ぐ手当てをしろ。皆は宿舎に返して休ませろ。アレテス、ギアス、アカテスの三人は用事を済ませたら広間の方へ来てくれ。オロンテス、行こう』
 四人は広間へと向かった。パリヌルスがオロンテスに言葉をかけた。
 『オロンテス、ご苦労であった。今日、俺たちは、お前が取り仕切る舟艇の部材加工切り出しの作業場と組み立て場の縄張りを終えた。明日の朝、見てくれればいい。それで聞くが、けが人の具合はどんなだ。何か要請なり、要望があったら言ってほしい』
 オキテスが言葉を継いだ。
 『けが人の具合なのだが、重症か』
 『たいしたことはないと思いますが、ひとりは、強い打撲を受けています。もうひとりの方は捻挫です。明日はけが人は休ませます。代わりの者を連れて行きます』
 オロンテスは、そこで一息入れて水を飲んだ。