イリオネスが身をかがめていた。
『おっ、イリオネス、何なんだ』
『船長たちが集まっています。相談事があります。おいでいただきたいのですが、事は極めて大切なことです』
『おっ、よし、判った』
二人は船長たちが囲む焚き火の箇所へと向かった。
『あっ、統領、どうぞ』
彼らは席を開いた。
『諸君、ご苦労。相談事だそうだな。俺も少々気になっていることがある。イリオネス、始めよう』
一同はアエネアスの顔を見つめた。
『パリヌルス、始めてくれ。君の考えからだ』
『判りました。初日の航海は全てをオキテスに任せて無事にこのレムノスに着きました。全く彼の采配の適確なところによります。天候も味方してくれた結果でした』
彼は話をひと区切りした。
『私が気にかけているのは次のことです。聞いていただけますか。まずひとつは、明日から航走しようとしている、エーゲ海のど真ん中の海洋は我々が知っている海洋であって、知り尽くした海洋ではないと言うことです。広い海洋の天候の変化を含めてですが。ふたつめは我々が目指しているミコノス島はキクラデスの多島海域にあるのですが、ギリシアの鼻の先の島です。戦いが終わってから半年の月日が経っています。長かった半年でもあれば、たったの半年かの短い半年でもあります。今のギリシア人たちが何を考えているか、我々を見て何を考えるか、全く不明です。そのようなところへ我々が船団を組んで入って行く、危険極まりない行動に見えるのではないかと考えられるのです』
『おっ、イリオネス、何なんだ』
『船長たちが集まっています。相談事があります。おいでいただきたいのですが、事は極めて大切なことです』
『おっ、よし、判った』
二人は船長たちが囲む焚き火の箇所へと向かった。
『あっ、統領、どうぞ』
彼らは席を開いた。
『諸君、ご苦労。相談事だそうだな。俺も少々気になっていることがある。イリオネス、始めよう』
一同はアエネアスの顔を見つめた。
『パリヌルス、始めてくれ。君の考えからだ』
『判りました。初日の航海は全てをオキテスに任せて無事にこのレムノスに着きました。全く彼の采配の適確なところによります。天候も味方してくれた結果でした』
彼は話をひと区切りした。
『私が気にかけているのは次のことです。聞いていただけますか。まずひとつは、明日から航走しようとしている、エーゲ海のど真ん中の海洋は我々が知っている海洋であって、知り尽くした海洋ではないと言うことです。広い海洋の天候の変化を含めてですが。ふたつめは我々が目指しているミコノス島はキクラデスの多島海域にあるのですが、ギリシアの鼻の先の島です。戦いが終わってから半年の月日が経っています。長かった半年でもあれば、たったの半年かの短い半年でもあります。今のギリシア人たちが何を考えているか、我々を見て何を考えるか、全く不明です。そのようなところへ我々が船団を組んで入って行く、危険極まりない行動に見えるのではないかと考えられるのです』
