『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY           第5章  クレタ島  33

2012-04-19 07:24:40 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『明日の航海は、星が空に残っているうちにこの浜を離れる。朝は朝星の刻に出航して夜は夜星の頃にならないと小島(現在のプサラ島)に到着しない。航走については風を期待できない。一日の大半を櫂で漕いでいなければならないかもしれない。先頭を行くオキテスの二番船にならって航走してほしい』
 彼はオキテスの方に目を運び了承を得た。
 『パリヌルス、判った』
 話を続けるパリヌルスはオロンテスのほうに顔を向けた。
 『オロンテス、明日の食事のことだが、堅パンと副菜を3食分くらいを各船に配ってほしい。明後日一日は島で風待ちをしなければならないかもしれない。全員の休息日となるかもしれん。次の航海に向けての食糧の準備はそのときにやってくれ。そのための動員要請は各船長に指示してくれ。以上だ』
 パリヌルスは必要な指示は伝え終えた。彼は一同に言っておこうか、言わないでおこうか迷っている事があった。だが、伝えておくべきであるとした。
 『それからだが、我々が停泊を予定している浜は、島の西岸の入り江だが島が無人であるとはいえ漁師が一時を過ごす浜小屋がある。漁師がいるかもしれん。対応はオキテス隊長に任せる。オキテス隊長よろしく頼む。また、この浜は遠浅で船の停泊はしやすい、一同安心して向かってくれ。尚、明朝の起床指示はオキテスと俺がその任に当たる。以上だ』
 一同はパリヌルスの説明と指示を納得して打ち合わせを終えた。