星が降るように耀く秋の夜空には月があった。細く耀く三日月であった。打ち合わせを終えた彼らは寝所へと向かった。
パリヌルスもオキテスの二人は短い時間であったが細事を打ち合わせた。
『パリヌルス、俺に任せろ。あの浜については俺も熟知しておる』
オキテスのひと言はパリヌルスの気持ちを楽にした。
彼ら一同はレムノスの清冽な朝を迎えた。彼らの胸に希望を沸きあがらせる朝であった。頭上に星をいただき、船長が声をあげて檄を飛ばしていた。各所に鬨の声があがった。アエネアスもイリオネスも考えてもいなかった風景であった。
オロンテスは彼らより一刻も早くから作業についていた。舟艇をあやつって堅パンや副菜を各船に配った。
パリヌルスの一声が彼らを駆動した。全員が乗船する、櫂座に就く、船を舫っていた綱を解く、碇石も上げた。
アミクスの声が夜の明けていない湾の気を震わせた。
『二番船、出航っ!』
『帆を上げっ!櫂をおろせ。漕ぎかたはじめっ!』
木板がなる、櫂が一斉に水を掻いた。海面が泡立った。帆は山おろしの微風をはらんだ。浜を向いていた舳先が方向を変えて湾口に向かう、衝角が海面を割った。
オキテスは迷うことなく南進を指示した。
パリヌルスもオキテスの二人は短い時間であったが細事を打ち合わせた。
『パリヌルス、俺に任せろ。あの浜については俺も熟知しておる』
オキテスのひと言はパリヌルスの気持ちを楽にした。
彼ら一同はレムノスの清冽な朝を迎えた。彼らの胸に希望を沸きあがらせる朝であった。頭上に星をいただき、船長が声をあげて檄を飛ばしていた。各所に鬨の声があがった。アエネアスもイリオネスも考えてもいなかった風景であった。
オロンテスは彼らより一刻も早くから作業についていた。舟艇をあやつって堅パンや副菜を各船に配った。
パリヌルスの一声が彼らを駆動した。全員が乗船する、櫂座に就く、船を舫っていた綱を解く、碇石も上げた。
アミクスの声が夜の明けていない湾の気を震わせた。
『二番船、出航っ!』
『帆を上げっ!櫂をおろせ。漕ぎかたはじめっ!』
木板がなる、櫂が一斉に水を掻いた。海面が泡立った。帆は山おろしの微風をはらんだ。浜を向いていた舳先が方向を変えて湾口に向かう、衝角が海面を割った。
オキテスは迷うことなく南進を指示した。