イリオネスは、パリヌルスの講釈を受け止めていた。
天候は好い申し分がない、ただ風力不足である。船団はレムノスを遠く離れた地点を航走している、北エーゲ海のど真ん中であった。太陽は頭上にある、船上の者たちを真上からあぶっていた。
レスボスの島影が左手遠くにかすんで見えていた。風力は出航時に比べて少しはましかなと思われる程度であった。軟風である、風力階級でいうと 3 くらいであり、風速と言えば4~5メートル/秒と思われた。風力だけでの船速は、人の歩速の2倍程度である。
オキテスはじりじりとしていた。彼の心中は穏やかではなかった。何とかしなければいけないと気がはやった。出航してからこの地点に至るまで、漕いで漕ぎまくって、予定の船速(時速14キロメートルくらい)で航走してきていた。
『休憩などしている余裕はない。休憩は交替でやる』
彼は漕ぎかたを叱咤した。
『漕ぎかた、力を入れろっ!全力で漕げっ!』
木板の叩く音が響く、彼らの気分をいやがうえにもマックスに導いた。
『アミクス、信号だ、信号を送れ!全力漕走だ。急げっ!』
船団の船速があがった。
彼は船上の者たちの心のベクトルを目的達成へと駆り立てた。
彼は心の中で雄叫びをあげていた。
『順調っ、順調っ!この調子だ、うまくいけっ!』
天候は好い申し分がない、ただ風力不足である。船団はレムノスを遠く離れた地点を航走している、北エーゲ海のど真ん中であった。太陽は頭上にある、船上の者たちを真上からあぶっていた。
レスボスの島影が左手遠くにかすんで見えていた。風力は出航時に比べて少しはましかなと思われる程度であった。軟風である、風力階級でいうと 3 くらいであり、風速と言えば4~5メートル/秒と思われた。風力だけでの船速は、人の歩速の2倍程度である。
オキテスはじりじりとしていた。彼の心中は穏やかではなかった。何とかしなければいけないと気がはやった。出航してからこの地点に至るまで、漕いで漕ぎまくって、予定の船速(時速14キロメートルくらい)で航走してきていた。
『休憩などしている余裕はない。休憩は交替でやる』
彼は漕ぎかたを叱咤した。
『漕ぎかた、力を入れろっ!全力で漕げっ!』
木板の叩く音が響く、彼らの気分をいやがうえにもマックスに導いた。
『アミクス、信号だ、信号を送れ!全力漕走だ。急げっ!』
船団の船速があがった。
彼は船上の者たちの心のベクトルを目的達成へと駆り立てた。
彼は心の中で雄叫びをあげていた。
『順調っ、順調っ!この調子だ、うまくいけっ!』