『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY           第5章  クレタ島  31

2012-04-17 07:48:42 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスはここで一同の了解を求めた。イリオネスはアエネアスと目線を交わして口を開いた。
 『パリヌルス、明日の航海については了解した。私も気にかけていたのだが、海洋のど真ん中のこの季節の気象については全くわかっていない。レムノスまでは、大陸の延長線上での思案で天候を推しはかることもできるがレムノス以南の海洋気象については全くわからん。お前の言うとおり大事をふもう。その点で明日はお前の言うように海洋の小島に向かうことを了解する。レムノスからミコノスにいたる長い海路の天候は見通せない、わかった。今、言ったとおりだ。諸君ら一同も了解するように、いいな』
 『判りました』 一同の声が揃った。
 『では、これより懸案の件について述べる。先ず、ミコノスに向かう航海の天候についてだ。天候次第でその小島で風待ちをしなければならないかもしれない、それは覚悟しておいてもらいたい。次に船団の編成のことについてであるが、軍船2隻、改造交易船1隻の3隻で二団編成とする。第一団は統領が座乗する船のいる船団で統領の用向きのあるデロスに向かう。もうひとつの船団はミコノス島のデロス島に近い浜に向かう。私の知るかぎりでは、その浜からデロス島へは十数スタジオン余り(2キロ余り)と極めて近いはずである。船団を2団に分けるその理由を簡単に説明しておく』
 パリヌルスは一同と目線を交わして話を続けた。