『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY            第5章  クレタ島  65

2012-06-04 08:16:28 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 夕食を終えた船長、副長たちが集まった。
 『おっ、アンテウス、六番船の乗組員の中にマリトロスがいるだろう。彼を呼んできてくれ』
 『判りました』
 程なく全員が顔をそろえた。アエネアスもイリオネスも同席している。パリヌルスは全員を見渡した。
 『諸君っ、出航に関しての打ち合わせを行う。明日の航海に備えて船団の態勢を変える。しっかり聞いてくれ。その態勢に準じて、人事の編成も変わる、いいな。これらの編成は、我々が知っていない海域を航海することと、もうひとつ、我々が知っていない土地を訪ね停泊する。それ故にだ、いつ、どこで、どのような、未知なる危機に遭遇するかも知れない。それらにこの態勢でもって対処する。判ったな』
 彼は、ここで言葉を切って、一同と目を合わせた。彼らの眼差しは、薄暮のなかで異様に耀いていた。
 『では伝える。編成について出航順に説明していく。説明にはいる前に伝えておくことがひとつある。二番船に乗り組んでいる者たち全員は六番船に乗り組む。六番船の者たちは二番船に乗り組む。乗り組みの交替である。いいな。六番船の船長はオキテス隊長、副長はアミクス、六番船に従う、また、先導する舟艇の艇長はギアスが努める。六番船には統領、軍団長、アンキセス、ユールス、アカテスも乗る。この二船は明朝一番にこの浜を離れ、デユロス島に向かう。それはデユロスにおいて、統領が果たすべき用向きがあるからである。判ったな』