夜明けはまだ遠い、満天の星が降ってきそうである。浜には気温の落差が北東からのいい風を送ってきていた。
オキテスは、パリヌルスを起こした。二人は申し合わせたように星空を見上げた。パリヌルスが声を上げてカイクスを呼んだ。
『おい、カイクス、起きているか』
『はいっ、起きていますが』
『各船長が起きているか、見てきてくれ』
『判りました』
彼は走って各船を見回った。
『隊長、皆、起きています。もう彼らは出港準備に取り掛かっています。五番船のオロンテス船長は、食糧の配布を始めています』
『そうか、判った。カイクス、次は伝達だ、急げ!六番船を海に浮かべるのに、二番、三番船から助っ人を向かわせるようにと伝えろ。次は、オキテス隊長に統領、軍団長に出港準備が整ったことの伝達をどのようにすればいいかの指示を受けて行動してくれ』
『はい、判りました』
彼は、六番船に向けて走り、通りすがりの二番、三番船の者たちに声をかけていった。
パリヌルスは、昨夜書きあげた木板を手にして部下たち十数人を引き連れて六番船に向かった。
六番船が動いている。砂浜を海に向かって動いている。じりっ、じりっと、ズリ動く、線条を砂浜に引きながら、海に向かって動いていた。
オキテスは、パリヌルスを起こした。二人は申し合わせたように星空を見上げた。パリヌルスが声を上げてカイクスを呼んだ。
『おい、カイクス、起きているか』
『はいっ、起きていますが』
『各船長が起きているか、見てきてくれ』
『判りました』
彼は走って各船を見回った。
『隊長、皆、起きています。もう彼らは出港準備に取り掛かっています。五番船のオロンテス船長は、食糧の配布を始めています』
『そうか、判った。カイクス、次は伝達だ、急げ!六番船を海に浮かべるのに、二番、三番船から助っ人を向かわせるようにと伝えろ。次は、オキテス隊長に統領、軍団長に出港準備が整ったことの伝達をどのようにすればいいかの指示を受けて行動してくれ』
『はい、判りました』
彼は、六番船に向けて走り、通りすがりの二番、三番船の者たちに声をかけていった。
パリヌルスは、昨夜書きあげた木板を手にして部下たち十数人を引き連れて六番船に向かった。
六番船が動いている。砂浜を海に向かって動いている。じりっ、じりっと、ズリ動く、線条を砂浜に引きながら、海に向かって動いていた。