アエネアスは慎重に話を続けた。
『父にも俺の想いを伝えた。『神託だ』『神託だ』と言って、神官の言うことを信じすぎては事を誤る。『神託』それは、あくまでも気にかけるべきことの判断の指針であって、それ以上の何ものでもないと言っておいた。俺はその『神託』を自分の耳で聞きたい。そのようなわけでデユロスに立ち寄ることを決めたのだ。判ってくれたか』
『判りました』
二人はうなづいた。
『一国を興す、それは大事である。そこにある水を手にとって呑むこととは大いなる差がある、比べることが出来ない。一挙手一投足が慎重であって間違ってはならないことなのである。その認識が強ければ強いほど慎重でなければならない。ただ、燃える想いが熱いとは言っておられないのだ。熱い想いで足元が不如意になる』
『判りました、統領。統領の考えが充分にわかりました』
アエネアスが建国にかける強い思いをつぶさに感じた。
『軍団長、『前へ』歩を進めましょう』
『お前の言うとおりだ。『前へ』一歩だ』
彼らは、デユロスにおける段取り、果たすべき役務と責任を強く認識した。
民族が根を下ろす世界の地の一点に到達するのに、このあと六年の歳月がかかることが、彼らにはまだ見えてはいなかった。
『父にも俺の想いを伝えた。『神託だ』『神託だ』と言って、神官の言うことを信じすぎては事を誤る。『神託』それは、あくまでも気にかけるべきことの判断の指針であって、それ以上の何ものでもないと言っておいた。俺はその『神託』を自分の耳で聞きたい。そのようなわけでデユロスに立ち寄ることを決めたのだ。判ってくれたか』
『判りました』
二人はうなづいた。
『一国を興す、それは大事である。そこにある水を手にとって呑むこととは大いなる差がある、比べることが出来ない。一挙手一投足が慎重であって間違ってはならないことなのである。その認識が強ければ強いほど慎重でなければならない。ただ、燃える想いが熱いとは言っておられないのだ。熱い想いで足元が不如意になる』
『判りました、統領。統領の考えが充分にわかりました』
アエネアスが建国にかける強い思いをつぶさに感じた。
『軍団長、『前へ』歩を進めましょう』
『お前の言うとおりだ。『前へ』一歩だ』
彼らは、デユロスにおける段取り、果たすべき役務と責任を強く認識した。
民族が根を下ろす世界の地の一点に到達するのに、このあと六年の歳月がかかることが、彼らにはまだ見えてはいなかった。