アヱネアスは、イリオネスと浜への道をたどりながら真剣に考えていた。
彼は、ここに到る思考回路を振り返った。
『俺としたことがうろうろ迷うとはーーー』
ここに到る曲折を考えた。決断をしたかというとそうでもない、正答を得るために父と話し合うことを避けない、そのことを心に決めた。
アヱネアスは思う、時を選ぶは我にある。
『いいだろう。新月の日を選んで父の話を聞く』
人は時が解決するというが、民族を統べていく俺には、それがない。俺自身は物事を解決する時を持っている。しかし、待っている時が存在しない。アヱネアスは、改めてそれを強く認識した。物事に対処する姿勢に一本の筋を通した。
彼は、ようやくにして決心に到る。彼の心は澄みわたる、気分が清々しかった。
アヱネアスは、父アンキセスに伝えるべき答えを出した。
イリオネスが声をかけてくる。
『統領、歩運びがゆっくりですな』
『おう、少々考え事に気を取られていてな』
『そうですか、急ぎませんからーーー』
『なあ~、イリオネス考えてみろ。このクレタに上陸したときのことをだ。通常考えることはだな、上陸するときは干戈を交えて上陸することが多い、無血上陸なんて無人島以外にないのが当たり前だ。俺たちが上陸したときには、それがなかった。人の伝(つて)をうまく使って上陸を果たし、定住している。まるで約束の土地がここにあったようにだ。お前、これをどのように考える?俺は、どうしても不思議に思えてならんのだ』
『そうですね。統領は、それは何故?不思議と思っておられる。私も同感です』
『まあ~、いずれ二人で話し合わなければならないようになるだろう。おう、浜に来たではないか』
『小島へ渡るハシケを探してきます。少々待っててください』
彼はアヱネアスのたっている浜にハシケをつけた。
『統領、どうぞ!』
『ハシケを小島にやってくれ』
アヱネアスら二人は、小島の波打ち際に降り立った。
張り番担当が駆け寄ってくる。
『あっ!統領に軍団長、ようおいでくださいました。あいにくアレテス隊長はキドニアからまだ帰ってきていませんが』
『それはいい。俺たち二人は、勝手に浜を見て廻る、これといった用事で来たのではない』
彼は、ここに到る思考回路を振り返った。
『俺としたことがうろうろ迷うとはーーー』
ここに到る曲折を考えた。決断をしたかというとそうでもない、正答を得るために父と話し合うことを避けない、そのことを心に決めた。
アヱネアスは思う、時を選ぶは我にある。
『いいだろう。新月の日を選んで父の話を聞く』
人は時が解決するというが、民族を統べていく俺には、それがない。俺自身は物事を解決する時を持っている。しかし、待っている時が存在しない。アヱネアスは、改めてそれを強く認識した。物事に対処する姿勢に一本の筋を通した。
彼は、ようやくにして決心に到る。彼の心は澄みわたる、気分が清々しかった。
アヱネアスは、父アンキセスに伝えるべき答えを出した。
イリオネスが声をかけてくる。
『統領、歩運びがゆっくりですな』
『おう、少々考え事に気を取られていてな』
『そうですか、急ぎませんからーーー』
『なあ~、イリオネス考えてみろ。このクレタに上陸したときのことをだ。通常考えることはだな、上陸するときは干戈を交えて上陸することが多い、無血上陸なんて無人島以外にないのが当たり前だ。俺たちが上陸したときには、それがなかった。人の伝(つて)をうまく使って上陸を果たし、定住している。まるで約束の土地がここにあったようにだ。お前、これをどのように考える?俺は、どうしても不思議に思えてならんのだ』
『そうですね。統領は、それは何故?不思議と思っておられる。私も同感です』
『まあ~、いずれ二人で話し合わなければならないようになるだろう。おう、浜に来たではないか』
『小島へ渡るハシケを探してきます。少々待っててください』
彼はアヱネアスのたっている浜にハシケをつけた。
『統領、どうぞ!』
『ハシケを小島にやってくれ』
アヱネアスら二人は、小島の波打ち際に降り立った。
張り番担当が駆け寄ってくる。
『あっ!統領に軍団長、ようおいでくださいました。あいにくアレテス隊長はキドニアからまだ帰ってきていませんが』
『それはいい。俺たち二人は、勝手に浜を見て廻る、これといった用事で来たのではない』