『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  853

2016-08-24 06:00:24 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『オキテス、どうだ、気持ちがおちついたかな?』
 『おう、おちついた。これであとは夕めしのあとだ。おお、キドニアの連中が帰ってきた』
 『おう、オロンテスにギアス、ご苦労!今日のキドニアはどうであった?』
 『担当している日常業務の方は、変わることなしの繁盛ぶりだ。変わったニュースが飛び込んできた。イラクリオンの浜で『海の民』という輩が浜の漁村を襲ったらしい。パノルモスあたりでもあったらしい』
 『ほう、そうか。そのことで話したいがある。夕めしを終えたら建造の場へ来てくれ。パリヌルスもいる話し合っておきたいことがある』
 『今の話に関連ありか?』
 『おう、ある』
 『ギアス、ヘルメスの走りに何か変わりはないか?』
 『変わりはありません。走りは順調、何も言うことはありません』
 『ほう、そうか。それは重畳!』
 『パリヌルス隊長、明日、明後日と二日続けて、試乗会をやります。集散所からの用命です』
 『おう、解った』
 『それで明後日の件ですが、姿形図と仕様書きをできたら四枚くらいづつほしいのですが』
 『解った。明日、準備して渡す』
 『よろしくお願いいたします』
 オロンテスとギアス、二人は建造の場をあとにした。
 『オキテス、今日の終業の頃合いだ。俺は行く。めしを終えたら、ここへ来る』
 『おう、解った。パリヌルス』
 パリヌルスが歩み去る。
 『オキテス隊長、浜のかがり火の準備が終わりました』
 『おう、ご苦労。今夜、燃やしてみて具合を見よう。向こう40~50日、連日燃やし続けるわけだ、燃やす木材の量、明るさの維持をしてのかがり火だ。ドックス、そのあたりに留意して考えねばならん。頼むぞ』
 『解りました。充分に考えて実行計画を考えます』
 『今日の終業の頃合いだ。一同を集めてくれ』
 ドックスは、各艇の仕上がり具合を入念にチエックして全艇を見て廻った。
 一同を集める、オキテスを呼ぶ、オキテスが全艇の仕上がり具合について、ドックスの報告を受ける、警備体制の変更を伝える、今日の終業を告げて締めくくった。
 夕陽が浜を照らす、星が目覚めはじめる、藍と茜のグラデーションが美しい、ニューキドニアの浜は、日中の繁忙を忘れたかのように静かに暮れていった。