朝行事を終えたアヱネアスは、新艇建造の場へ歩を運んだ。今日は息子のユールスを連れている。
建造の作業をする者たちはまだ、場に姿を見せていない、無人の建造の場である。
彼は独りの人影を目にとめた。ドックスである。
『あっ!統領、おはようございます』
『おう、おはよう。ドックス、早いな』
『はい、始業前の点検チエックです。これを入念にやっておく、各艇の現場に微妙な差があります。皆にいい仕事をさせる、してもらう。そのためには欠かすことのできない気配りです』
『ほう、そうか、それはご苦労。今日の俺は日中の巡回ができない、それもあるが、ユールスに新艇の建造の現場を見せておきたくてな』
『そうですか』
『ドックス、それからだが、ユールスに作業の光景を見せたいと考えている。そのときにはよろしく頼む』
『解りました』
アヱネアスは、建造の場をあとにした。
彼は、父アンキセス、ユールス、アカテスとともに和みのある朝食を過ごした。
今日の予定として、アカテスに父アンキセスから、いろいろと話を聞く旨を伝えた。
『それは、よろしいですな。背に負うている物事の決断には、物事の経緯をよく知っている、これが大切です。アヱネアス統領殿、よくぞ心に決められました。父アンキセス殿は、どれほど、この時を待っておられましたことか』
『おう!』
『アヱネアス統領殿、トロイが壊滅の焼き討ちに遭遇するまで、考えられないような長い長い長久の年月を経ています。言い伝えによると炎上壊滅したトロイ城市は、七度目に造られた城市だったのです。私の耳にした言い伝えですが』
『そうか、解った』
朝食が終わった。父アンキセスがアヱネアスに声をかけてくる。
『アヱネアス、部屋へ行こうか』
『解りました』
二人が立ちあがる、部屋へと足を運ぶ、アヱネアスと父アンキセスは、雑なつくりのテーブルをはさんで座した。なんとなく身構えるアヱネアス、アンキセスはというと身構えるわけでなく、何をどのようにか語ろうかと思案顔である。彼のこれまではというと息子アヱネアスをどう説得しようかと少々高みの位置にスタンスして、考え、話そうとしていた。その態度が変わってきている。
むしろ、アヱネアスとへだたりのない、いや、少しばかり見あげたスタンスで話をしようとしている。
そのような感じがうかがわれた。このトロイの一族を統べている息子アヱネアスに敬意をもって接しようとしている気配さえ感じられた。
建造の作業をする者たちはまだ、場に姿を見せていない、無人の建造の場である。
彼は独りの人影を目にとめた。ドックスである。
『あっ!統領、おはようございます』
『おう、おはよう。ドックス、早いな』
『はい、始業前の点検チエックです。これを入念にやっておく、各艇の現場に微妙な差があります。皆にいい仕事をさせる、してもらう。そのためには欠かすことのできない気配りです』
『ほう、そうか、それはご苦労。今日の俺は日中の巡回ができない、それもあるが、ユールスに新艇の建造の現場を見せておきたくてな』
『そうですか』
『ドックス、それからだが、ユールスに作業の光景を見せたいと考えている。そのときにはよろしく頼む』
『解りました』
アヱネアスは、建造の場をあとにした。
彼は、父アンキセス、ユールス、アカテスとともに和みのある朝食を過ごした。
今日の予定として、アカテスに父アンキセスから、いろいろと話を聞く旨を伝えた。
『それは、よろしいですな。背に負うている物事の決断には、物事の経緯をよく知っている、これが大切です。アヱネアス統領殿、よくぞ心に決められました。父アンキセス殿は、どれほど、この時を待っておられましたことか』
『おう!』
『アヱネアス統領殿、トロイが壊滅の焼き討ちに遭遇するまで、考えられないような長い長い長久の年月を経ています。言い伝えによると炎上壊滅したトロイ城市は、七度目に造られた城市だったのです。私の耳にした言い伝えですが』
『そうか、解った』
朝食が終わった。父アンキセスがアヱネアスに声をかけてくる。
『アヱネアス、部屋へ行こうか』
『解りました』
二人が立ちあがる、部屋へと足を運ぶ、アヱネアスと父アンキセスは、雑なつくりのテーブルをはさんで座した。なんとなく身構えるアヱネアス、アンキセスはというと身構えるわけでなく、何をどのようにか語ろうかと思案顔である。彼のこれまではというと息子アヱネアスをどう説得しようかと少々高みの位置にスタンスして、考え、話そうとしていた。その態度が変わってきている。
むしろ、アヱネアスとへだたりのない、いや、少しばかり見あげたスタンスで話をしようとしている。
そのような感じがうかがわれた。このトロイの一族を統べている息子アヱネアスに敬意をもって接しようとしている気配さえ感じられた。