二人は魚事業の現場を見て廻った。行くところところで歓迎された。
『なあ~、イリオネス、これを見てみろ!アレテスもなかなか工夫をして仕事をやっている』
『言われる通りです。彼も彼なりに知恵を絞ってやっています』
『魚の塩漬け、干し魚、そういった品物は鮮度が命だ。仕事を進めていくうえで鮮度管理が重要ポイントとなる』
『スダヌス浜頭の指導もあって、うまくいっているようです』
『そうか。それは安心というところか』
『はい、そうです』
二人は心行くまで小島を見て廻った。
アヱネアスは小島の北の浜に立ってクレタ海を眺める。小島の西北端に到り、西岸に沿って南下した。小島を充分に見つくして帰ってきた。
続いて建造の場へと足を向ける、仕上がっていく新艇見る、日々に形ができていく。それを見るのがアヱネアスの楽しみになってきている。彼は日々の巡回に無上の楽しみを覚えた。
『軍団長、今日は、これまで、引きあげる』
二人は今日の巡回を終え、宿舎へと帰った。
宿舎の前では、アカテスがユールスに撃剣の組剣を教えている、ユールスがアカテスに打ち込んでいく、アカテスがこれを受け止める。ユールスの年齢では考えられない、いい剣筋で動き回っている。
アカテスから教えられるカタチ組みどおりにアカテスに打ち込んでいく、ユールスが額の汗を拭おうとするがアカテスがそれを許さない。見つめるアヱネアス、修業とは、そういうものであるといったところであった。
宿舎に戻ったアヱネアスは、父アンキセスに声をかけた。
『親父殿いいかな、話しておきたいことがある』
『おう、なんだ?』
『あと五日くらいで新月の日となる。親父殿が話したいといっていることを聞かせてほしい。造船の方も、ひとつの山を越えた。親父殿の話を聞こうと心に決めた。じっくりと聞きたい!親父殿の方はどんな具合だ?』
『おう、新月の日か、それはいい。俺もお前に聞いてもらいたい話、話したい話がある。お前にとって大切な話だ。その日は朝から話をすることにしてくれ。夜はだめだ。そのように段取りしてくれ』
『解った、その方が落ち着いて話が効ける』
『アヱネアス、やっとその気になってくれたか、俺は、それを待っていた』
父アンキセスは、アヱネアスの言葉を受け止めた。
『なあ~、イリオネス、これを見てみろ!アレテスもなかなか工夫をして仕事をやっている』
『言われる通りです。彼も彼なりに知恵を絞ってやっています』
『魚の塩漬け、干し魚、そういった品物は鮮度が命だ。仕事を進めていくうえで鮮度管理が重要ポイントとなる』
『スダヌス浜頭の指導もあって、うまくいっているようです』
『そうか。それは安心というところか』
『はい、そうです』
二人は心行くまで小島を見て廻った。
アヱネアスは小島の北の浜に立ってクレタ海を眺める。小島の西北端に到り、西岸に沿って南下した。小島を充分に見つくして帰ってきた。
続いて建造の場へと足を向ける、仕上がっていく新艇見る、日々に形ができていく。それを見るのがアヱネアスの楽しみになってきている。彼は日々の巡回に無上の楽しみを覚えた。
『軍団長、今日は、これまで、引きあげる』
二人は今日の巡回を終え、宿舎へと帰った。
宿舎の前では、アカテスがユールスに撃剣の組剣を教えている、ユールスがアカテスに打ち込んでいく、アカテスがこれを受け止める。ユールスの年齢では考えられない、いい剣筋で動き回っている。
アカテスから教えられるカタチ組みどおりにアカテスに打ち込んでいく、ユールスが額の汗を拭おうとするがアカテスがそれを許さない。見つめるアヱネアス、修業とは、そういうものであるといったところであった。
宿舎に戻ったアヱネアスは、父アンキセスに声をかけた。
『親父殿いいかな、話しておきたいことがある』
『おう、なんだ?』
『あと五日くらいで新月の日となる。親父殿が話したいといっていることを聞かせてほしい。造船の方も、ひとつの山を越えた。親父殿の話を聞こうと心に決めた。じっくりと聞きたい!親父殿の方はどんな具合だ?』
『おう、新月の日か、それはいい。俺もお前に聞いてもらいたい話、話したい話がある。お前にとって大切な話だ。その日は朝から話をすることにしてくれ。夜はだめだ。そのように段取りしてくれ』
『解った、その方が落ち着いて話が効ける』
『アヱネアス、やっとその気になってくれたか、俺は、それを待っていた』
父アンキセスは、アヱネアスの言葉を受け止めた。