『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1214

2018-02-01 08:02:27 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 小島の浜でも浜に居並ぶ者らが手を振って出迎えてくれている。浜に目を移す、大勢が浜に詰めかけている、出迎えてくれている者らである。
 彼らは二艇が海上を駆ける状況に注目している。ゴッカス、ギアスらがが講ずる操船の様を見ている。そうこうするうちに浜とは指呼の距離となる。二艇は櫂漕ぎで浜に接近して動きを停める。
 アエネアスがいる、パリヌルスがいる、ドックスもいる、浜にいる者らが長途の営業航海を終えて帰ってきた一行を出迎えてくれている。
 ゴッカスがイリオネスに報告する。
 『軍団長、我らが浜に到着しました』
 『おう!そうか。一同は無事か?一同、艇から降りたら波打ち際に整列させよ。ギアスにもその旨を伝えて整列してくれ』
 『了解しました』
 一同の整列が終わる、ゴッカスが艇上のイリオネスを迎えに赴く。
 イリオネスが艇から降りて浅瀬を歩いて浜にあがる、一同と顔を合わせてうなずき交わす、無事を確かめる、整列している一同を背にして前に立つ、アエネアスがイリオネスに向かって立つ、二人の目が合う。
 『統領!総員、無事、六日間にわたった営業航海から、只今、帰りました。なお、オキテスはキドニア集散所の所用のためオロンテスの帰りの便船にて帰ります。以上、報告いたします』
 『おう、ご苦労であった。無事に航海を終えてくれたこと、喜びにたえない、ひとしおならぬ喜びである。大変にご苦労であった』
 アエネアスは、彼らの労苦をねぎらう、イリオネスはアエネアスの気持ちを推しはかってうなずく、彼らの6日間に及んだ営業航海が終わる。
 イリオネスはギアスに指示する。
 『おう、ギアス、一同の昼食を整えてくれ。酒も少々つけてだ』
 『解りました』
 彼は、乗ってきたテムノス方の新艇を建造の浜に移動することを指示する、それを済ませてパン工房へ歩を運ぶ。
 『おう、セレストス、変わりはないか?俺ら無事に今、帰ってきたところだ。昼食にしたい。準備を頼む』
 『それはご苦労でした。何人くらいかな?』
 『軍団長以下、総員50人だが、少々余分を頼む。それから、酒のほうの準備も頼む。一同は浜にいる』
 『解りました。少々時間をいただきます』
 『おう、了解!』
 昼食の手配を終えてギアスが浜に戻る。一同は着岸した浜に腰を下ろして休んでいる。アエネアスとイリオネスが談話を交わしている、パリヌルスは、ゴッカスと操舵の二人と話している、その傍らにドックスが座っている。
 浜も昼食の時となろうとしている。間をおくこともなくセレストスが昼食を届けてくれる。一行を出迎えてくれた者らも昼食時ということで場から去っていく。
 ギアスとゴッカスは、二、三の者に手伝わせて昼食を一同に配る。『お前ら腹が減っただろう』と声をかけながら昼食のパンを手渡した。酒も配り、一斉に食事時間とする。
 イリオネスがアエネアスに声をかける。
 『統領、一同と一緒に昼を食べたいと考えています。マリアにおける諸事の報告は昼食後にします。統領も一同とともに食事をされますか?』
 『おう、そのようにする』