『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1226

2018-02-19 08:12:38 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 イリオネスのキドニア行きの朝が明ける。イリオネスが出航の浜に立っている、オロンテスらは荷積みに大わらわである、オロンテスの声が飛んでいる、荷積み作業の終了が伝えられる、出航の時となる。
 オキテスが姿を見せる、キドニアに行かない旨をイリオネスに伝える。オロンテスが出航を指示する。
 舟艇は、キドニアに向けて浜を離れていく、オキテスが波打ち際に立ってこれを見送る。
 見送りを終えてオキテスは、建造の場に足を向ける。
 あと7日、2艇の戦闘艇が完成する、業務が段取り通りに進んでいる、瞼に完成した戦闘艇の雄姿を思い浮かべる。
 ドックスが作業者ら一同を集めて、始業の打ち合わせをやっている。テムノス方の新艇の新舵構造の取り付け班の編成とその作業段取りの打ち合わせもしている。
 『おう、解ったな!』
 『はいっ!棟梁、了解しました』
 班長が答える。
 『いいか!作業は丁寧にやる。抜け落ちのないようにする。解ったな。これが図面だ』と言って、工作図が描かれた木板を手渡して、作業指示のクロージングをする。
 この情景に満足するオキテス、自分席の場所へと歩を向ける。
 今日の作業がスタートする。
 建造の場にパリヌルスが来る。
 『おう、オキテス、おはよう!』
 『おうおう、、おはよう』
 『お前、今日、キドニアへ出かけなかったのか』
 『おう、戦闘艇2艇があと7日で完成する。仕事が山場に来ている。いろいろと多忙だ』
 『なあ~、オキテス、今、建造中の2艇をテカリオン方に引き渡す、改めて、マリアから注文を受ける。途切れることなく仕事が続く。いいことだと俺は考えている』
 『おう、同感だ!それは言えてる』
 『ところで、ふと気が付いたのだが、パキオテ方、キドニス方に引き渡した新艇のことだが、この2艇に関する改造サービスについて、前もって考えておく必要があると考えている』
 『そうだな、新艇を引き渡した時期に差があるからな。パキオテ方に件については俺も気にかけている。了解した、その件について、俺なりに答えを出しておく。キドニス方の件については会議の時に話し合って対応を考えよう』
 『それからだが、戦闘艇の衝角構造体のことだ。航走時の効果だがそれについて詳しく考えたい。新艇に採用してはと考えている』
 『そうか、それはいいかもしれんな。それは、こんどの航海を振り返って検証の結果を思い出してみる』
 『それについては、また、話を聞かせてくれ』
 『解った。パリヌルス、会議で言っていた、あの文言なかなかいい。あれは感動もんだぜ!』