『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1221

2018-02-12 09:21:59 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 宿舎に戻ったイリオネスは、今日のこれからを考える、朝食を簡単に済ませる、アエネアスの宿舎の前庭へと歩を運ぶ。
 パリヌルスら三人は、すでに顔をそろえている。
 『おう、おはよう!』
 『おはようございます。いい朝です』
 三人が朝の挨拶を唱和する。彼らは会議態勢でいる。
 『おう、いい朝だ!お前ら会議態勢だな、重畳!そうだ、その意気、結構!』と三人と目を合わせる。
 アエネアスが宿舎から出てくる。けもの道にも似た細い通路を挟んで立つ、一同に声をかける。
 『おう、諸君!おはよう』
 『おはようございます。いい朝です』と四人が返す。
 アエネアスが凛とした声で返す。
 『おう、いい朝だ!』と返して四人と目を合わせる、会議態勢の意思を通じ合わせる。
 『おう、掛けてくれ。五人がこのようにして会同するのは八日ぶりというところかな。久しいという感じがする。諸君らどうかな?』
 アエネアスのフアストアプローチが届く。
 『はい!言われる通りです。毎日顔を合わせる日常を過ごしている、七日も顔を合わせることなく過ごし、今、このように顔を合わせる。久しぶりという感じです』とイリオネスが応える。
 『ぶどう酒を持参した、喉を湿らせて、軍団長の航海の話を聞こう。会議を意識した話であってもなくてもいい。パリヌルスもオロンテスも聞きたいであろう』
 『然りです』
 それを耳にしたイリオネスが身構えて話し始める。
 『場は会議である。緊急に検討する案件も話の中に含まれている。統領が言われるように雑談風というわけにはいかない。しっかりと筋道を通して話す、諸君らと検討して、これからの事態に対処する意思を決めなければならない。この営業航海は、俺なりに確固たる意図をもってやった航海であるからな。諸君らもそのつもりで聞いてもらいたい』
 『解りました』
 イリオネスは、日々を追って実行した営業航海の話を進める、試乗会の催行状況についてはオキテスが補足説明をする、現行の造船事業体のありかた、時代に対する即応の仕方、どのように運営していくか、我々がどのように船を建造していくか、また、クレタにおける船舶の価格相場の動向と対策について、イラクリオンのエドモン浜頭、レテムノンのテムノス浜頭、スダヌス浜頭も加わって話し合ったことを一同に話した。
 そのうえで三人の浜頭が手を携えて、造船事業に関与することを約したことを説明した。
 なお、船を買いたいと考える、そして、船を買うと意思決定をする。その過程で、どのように考え、何が購入意思決定の重要な要点であるかを話し合った結果、それに関しての集散所の要望等について話した。
 船の引き渡し価格決定に関する客側の思惑がどうなのかについても充分に理解できた旨を語った。