『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1218

2018-02-07 09:00:11 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 帰還報告を終えたオキテスが姿勢を改める、イリオネスに身体を向ける。
 『軍団長、報告します。集散所方に営業航海の終了を伝え、試乗会の催行について状況を話しました。そして、明後日に改めて、軍団長が集散所方へ来所する旨を伝えました。以上、報告いたします』
 『おう!ご苦労であった。して、持ち返った検討を要する案件は話していないな』
 『はい、その件については、一切、触れてはいません』
 『おう、了解!集散所方との話の進め方を考える』
 アエネアスが一同に話しかける。
 『おう、オロンテスもいる、会議のメンバーがそろっている。一同に伝えておく。明朝、会議をやる、場はこの場所だ。オロンテス、明日は、お前に代わる者をキドニアに行かせて会議に出席だ。いいな』
 『解りました』
 『尚、軍団長の話によると緊急に検討し決める必要のある案件があるそうである、会議途中に間をとって、夕刻近くに再度、会議を開く、そういうことだ』
 『解りました』
 彼らは打ち合わせを終える。
 オキテスがパリヌルスに声をかける。
 『パリヌルス、建造の進捗を気にかけている、どんな具合かな?また、マリアで提起された問題が一件ある。それともう一件は、レテムノンのテムノス方に引き渡した新艇の改造の件がある。建造の場に行って打ち合わせをやろう』
 『おう、解った。すぐ行こう!』
 『統領、そして、軍団長、オキテスと私、打ち合わせの用件があります。建造の場に行きます』
 『おう、了解!委細については、ほぼ見当がついている』
 二人は、場を引きあげて、建造の場へと歩を向ける。
 二人は歩きながら話し合う。
 『おう、オキテス、ご苦労であった。天候に恵まれての航海であったかな?』
 『天候で航海に支障をきたすことはなかった』
 『それはよかったな。無事の航海を願っての俺の心遣いだ』
 『ありがとう。感謝感謝だ。俺は感心したぜ!あの試作艇だが、海上の条件に対する順応性が素晴らしくいい!走行の安定性も優れている。走行の安定性が艇重の軽い新艇に比べて重い筈なのに船足の速さに衰えがない。いやな、レテムノンのテムノス浜頭、イラクリオンのエドモン浜頭の二人が乗ったのだが、口で誉めはしなかったが、その速さに目を見張っていたな』
 『そうか、それは重畳ということなのか』
 『そうだ。俺自身、感動した』
 二人が建造の場に着く、オキテスの耳を突いてくる言葉は、『オキテス隊長、無事の帰り、ご苦労でした』の言葉である。返す言葉は、『おう、ありがとう!』であった。