「追悼103歳 天に献げる地上の花 片岡球子 展」
(日本橋高島屋8階ホール、5月20日~6月1日)
片岡球子(1905-2008)の絵をこれだけまとめてみるのは始めてである。これまで大抵は一つか二つ、確かポーラ美術館で十くらいだったか、そのくらいだ。
人物、富士山を中心とした山岳、面構(つらがまえ)シリーズ、晩年の裸婦、と50点あまり、規模は大きい。
今回気づいたのは人物の眼で、多くは何かを特にうったえてはいない、その暗闇に引き込まれそうな、ちょっと不気味な眼である。子どもの眼でも、いや特に子どもの眼なんかが。
これも徹底的な観察の結果なんだろう。西洋古代彫刻に眼がないのと同じ理由かどうか、それはわからない。
富士山は、「富士に献花(1990)」という有名なものが展示されているが、もう少し山に集中した、それも抽象化の度合いが結果として高いものの展示が欲しかった。欲を言えばである。
面構で一つ選ぶとすれば、広重だろうか。