「若き皇后シシー」 (SISSI-DIE JUNGE KAISERIN、1956、オーストリア、101分)
監督・脚本:エルンスト・マリシュカ
ロミー・シュナイダー(シシー)、カール=ハインツ・ベーム(フランツ・ヨーゼフ皇帝)、マグダ・シュナイダー(シシーの母)、グスタフ・クヌート(シシーの父、マックス公爵)、フィルマ・デギッシャー(シシーの母の姉、フランツ・ヨオーゼフの母)、ウォルター・ライアー(アンドラシー侯爵(ハンガリー))
シシーのシリーズ第2作で、皇妃となり、娘が生まれるが、その養育を手元で出来ず、姑に取られてしまい、それを反対してくれない夫(皇帝)との間にひびが入って、実家に帰ってしまう。そのあと皇帝が追いかけてきて、最後はなんとかまとまるのだが、途中はいかにもアルプスという景色の中の旅が続き、娯楽映画の典型となっている。
このストーリーでキーになるのがハンガリーの問題で、オーストリアとハンガリーがうまくいかないところを、相手のアンドラシー侯爵をダンス相手に選ぶという機転で切り抜ける。そして最後にも、夫との間がまだうまくいかないという事情を押し切ってハンガリー使節の歓迎に出てくることにより、オーストリア皇帝がハンガリーの王ともなるというところに結びつける。
音楽には「ラコッツィ行進曲」が使われている。
ロミー・シュナイダーは前作から1年でやはり大人になったなと思わせる。それにしてもこの細いウェストは随分締め付けたのだろう。
ところで、こうやってこの映画を今のんきに見ているけれど、映画が製作された1956年の11月にはハンガリー動乱が起こった。その動きを見こしてこのストーリーにしたのか、あるいは公開されてからどんな反響があったのか、興味あるところだ。
前作と同様これもカラーの状態がきわめて良い。アグファ・カラーの技術、品質なのか、保存のせいなのか。テレシネを早めにいい状態で実施したせいか。この作品がオーストリアで愛されているからでもあろう。