「20世紀フランス絵画の挑戦 アンフォルメルとは何か? 」
ブリヂストン美術館 4月29日(金)-7月6日(水)
ブリヂストン美術館所蔵作品にキーとなる他館作品を加えた、いい展示である。キュレーターの腕だろうか。
アンフォルメルは、第二次大戦後のパリで起こった前衛的絵画運動のことで、文字通り「非定型なるもの」ということらしい。1950年に批評家ミシェル・ダビエが提唱した。
その前段階ということだろうか、館所蔵おなじみの印象派、そして近代の作品が少し並べられているが、「アンフォルメル」を見に来たという頭で見るといつもと違った見え方をするのは不思議なものだ。
そのあといよいよアンフォルメルというところでまとめて展示されているジャン・フォートリエ(1898-1964)とジャン・デュビュッフェ(1901-1985) 、こうしてまとめてゆっくり見ると、まさに言葉では表現で きないけれども絵としてよく理解できるし、感じるところは多い。
フォートリエの「人質」シリーズも、強烈に訴えるというよりは、こちらが静かに受け取るように導いていく。
デュビュッフェの絵に出てくる顔はいくつか記憶にあるが、これもただ面白いというより何かの気分が感じられる。
他に、アンリ・ミショー(1899-1984) 、アンス・アルトゥング(1904-1989) 、ヴォルス(1913-1951) 、ジジョルジュ・マチウ(1921-) 、ピエール・スーラジュ(1919-) な ど、それぞれ何かを感じとれるものである。スーラージュは震災でフランスから日本へのアート持ち出しが禁止となった中で、ポンピドゥー・センターがこの展示の意義から特別に出展してくれたそうで、ここで見るとそれだけの力のある作品である。
そして最後の方に展示されているザオ・ウーキー(1921-) 、これは所蔵品展でいくつか見たときから気に入っていて絵葉書も買っているくらいだが、今回初めて見る作品があり、これも気に入った。