メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

エッシェンバッハのマーラー「復活」

2020-04-09 11:12:46 | 音楽
マーラー:交響曲第2番「復活」
指揮:クリストフ・エッシェンバッハ、メゾ・ソプラノ:藤村実穂子、ソプラノ:マリソル・モンタルヴォ
NHK交響楽団、新国立劇場合唱団、2020年1月11日 NHKホール 4月5日(日)NHK Eテレ
 
ひさしぶりの「復活」である。50年くらい前から一時はいろんな指揮者でずいぶん聴いたのだが、なにしろ長いからレコードやCDになかなか手が伸びなかった。でも今回はTVだし、エッシェンバッハということで期待して、、、
 
それは期待通り、ただこの人だと暗く深刻なところがと思っていたが、それは勘違いで、繊細で美しい響きとていねいなフレージングで聴かせた。考えてみればこの曲は民俗音楽的な美しさも際立つ第1番「巨人」と第3番の間であって、それは第2楽章のレントラーでも堪能でき、そうやって第4楽章「原初の光」のメゾ・ソプラノからうまく「復活」へと持っていかれた。
 
N響も、ソロを含めうまくなったものである。メゾの藤村は指揮者のイメージ通りのようだったが、ソプラノはメゾと唱法がちょっと違うというか、アンサンブルが今ひとつだったのがちょっと残念
 
放送の後半、エッシェンバッハの生い立ちからこれまでが本人の語りとともに紹介された。1940年生まれで、戦争孤児だったということは知っていたが、より具体的に知ると、これまでピアニストとして成長、その後歌曲の伴奏などを経て指揮者と理解していたが、実は幼児から指揮者志望だったようで、きっかけはフルトヴェングラーのコンサート、そしてセル、カラヤンのリハーサルに同席させてもらったことが大きかったようだ。
 
今はコンサートや録音でピアノはやらないのだろうか。上記で「暗く深刻」と書いてしまったが、なにしろあの吉田秀和をして「黒の詩集」と言わしめたショパンのプレリュードを聴いているから、そのイメージはまだ残っている。


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