メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

オズの魔法使

2020-04-24 09:40:15 | 映画
オズの魔法使 (The Wizard of Oz、1939米、101分)
監督:ヴィクター・フレミング、音楽(主題歌):ハロルド・アーレン
ジュディ・ガーランド(ドロシー)、レイ・ボルジャー(案山子)、ジャック・ヘイリー(ブリキ男)、バート・ラー(ライオン)、ビリー・バーク(グリンダ)、フランク・モーガン(魔法使、大王)
 
有名な作品だが、見るのははじめて。
知っていたのは、主演ジュディ・ガーランド、主題歌「Over the Rainbow」、途中で出てくるYellow brick(レンガ)road がエルトン・ジョンの同名の曲につながっているらしい、ということくらいである。
 
カンザスの田舎、親をなくしおばさんに育てられている12~3歳(?)のドロシー、愛犬トトがわるさをしていると大家のおばさんに処分を指示されるが、それをきりぬけようとして騒動を起こす。そのさなか竜巻にまきこまれ、やっと家の中に逃げ込んで、騒ぎがおさまったところでドアを開けると、外にはおとぎの、魔法の世界が広がっていた。それまでのセピアの画面がドアの外から総天然色テクニカラーに変わるところが、この映画の見せどころでもあったのだろう。
 
そのあと、魔法の国に向かっていく中で、頭脳がほしい案山子、ハートがほしいブリキ男、勇気がほしいライオンと会い、一緒にイエロー・ブリックロードを向かっていくが、悪い魔女の一味に邪魔されたり、行きついた国で大王に難題を出されたり、最後は「え!」と驚くが、「なあーんだ」という感もあるお話。家に帰ってきたところでまたセピアの画面になる。
 
どたばたがすぎる感もあり、映像の細部はまだこの時代だからかというところが散見されるが、セリフや細かい展開は何かアメリカが子供にこう教育したいのかな、と想像させるところもあった。これはディズニーにもあるけれど、こっちはもう少し絵が洗練されていたかもしれない。
 
中学生のころに見て、台本を手に入れていたら、いい英語の勉強になっただろう。
 
虹の彼方に幸せがあると思っていたが、魔法が解けてみると、いまいるところにこそ幸せはあった、ということで、最後のセリフは There is no place like home ! これは今コロナ・ウィルスで大変な米国で話題になっているらしい。
 
NHK BSで放送されたのは先週、放送が計画されたのは2月より後ではないだろうから、多分ジュディ・ガーランドを描いた映画がアカデミー賞で話題になっているのをねらったので、このセリフが今フィットしたのは偶然だろう。
 
1939年のテクニカラーといえばあと「風と共に去りぬ」だが、この映画の最後、スカーレットのセリフはTomorrow is another day 、「is」と現在形で言いきったところがなんとも強い。すべてを失い、それでも私には故郷のタラがあるわと帰ってみるとそこは荒れ果てていて、それでこれである。好きになれない主人公だが、このしたたかさは嫌いでない。コロナの渦中、そう思いたいが。
 




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