メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

赤い河

2020-04-16 09:38:47 | 映画
赤い河 ( Red River, 1948米、133分)
監督:ハワード・ホークス、音楽:ディミトリ・ティオムキン
ジョン・ウェイン(ダンソン)、モンゴメリー・クリフト(マシュー)、ウォルター・ブレナン(グルート)、ジョアン・ドルー(テス・ミレー)、ジョン・アイアランド(チェリー・ヴァレンス)
 
西部劇のほぼすべての要素が高いレベルでそろい、構成された傑作である。
 
ダンソンはテキサスで先住民との間に苦労し、愛する女性を犠牲にしながら、迷い込んだ若者マシューと14年かかって牧場を大きくし、多くの牛を持った。しかし南北戦争の後不景気で、その牛を高く売れる遠方に運ぶ決心をする。牛を運ぶカウボーイというものの背景がこれでよくわかる。その途中でやはり先住民とのトラブルなどで、牛が暴走したりするところのカメラワークは絶品、そして仲間割れ、その処理をめぐるダンソンとマシューの決裂、そのあたりのガンプレイを含めた喧嘩の演出もいいし、それからマシューが途中で出会った女性テスもい入った3人の関係も見どころ。
 
さて結末は、となかなか想像しがたい、予定調和でもなし悲劇でもなし、、、
ハワード・ホークス、見事である。
 
ジョン・ウェインはやんちゃなところもある大人(時に老いの色濃い)という位置づけで出てくる作品が多いが、ここではそんなところは微塵もない。風貌もかなりスリムである。
 
そしてモンゴメリー・クリフトを使ったところが、この作品の成功をさらに決めたといってよい。この大戦後現れた世代の若者が、やはり南北戦争の後の世代として出ているようにも見える。
 
叙事詩であって、最後はドラマ、後味がいい。



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