メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

夕陽のガンマン

2021-02-12 21:15:41 | 映画
夕陽のガンマン ( For a Few Dollars More、1965伊、130分)
監督:セルジオ・レオーネ、撮影:マッシモ・グラマーノ、音楽:エンニオ・モリコーネ
クリント・イーストウッド(モンコ)、リー・ヴァン・クリーフ(モーティマー大佐)、ジャン・マリア・ヴォロンテ(インディオ)
 
あまりにも有名だが、これまで見ていなかった。やはり見ておくものである。それまでの西部劇とまったく違って、登場人物の人間的な面はほとんど描いていない脚本、それまでの西部劇から印象的なショット、ガンプレイ、顔と煙草のクローズアップなど、こればベストというものを集め、それで観るものに少しずつ想像させていく。いわゆる名場面の映像が続いて、まったく飽きさせない。
 
モンコとモーティマーは賞金稼ぎ、後者は前歴の職業柄か、スーツにタイ、前者はいかにもの流れ者で衣装もメキシコ風、出会っても親しまないが、強盗団を壊滅させて賞金を稼ぐために組むことになる。
 
インディオが強盗団の頭目で、この連中の内輪の関係やもめごとなど、よくわからないところはあるけれど、それは最後にすこしわかってくる味付けもある。
 
ここでイーストウッドは存在感と強さを見せるが、本作で渋くて底知れない強さをみせ、スマート(かっこいい)なのはリー・ヴァン・クリフだろう。いちいち気障なのもいい。
ヴォロンテは本当にこわさを見せる。
 
俳優、カメラにもまして、ここはなんといってもエンニオ・モリコーネをあげないといけないだろう。見ていないのにここに出てくる音楽はほとんど知っていた。また効果的に使われるおそらくパイプオルガンも迫力を出して盛り上げる。モリコーネは昨年亡くなったが、この人が映画史に残した足跡は計り知れないし、それまでの映画音楽たとえばマックス・スタイナー(「風と共に去りぬ」など)に続いた一連の作曲家たちとは全く違った次元を切り開いたと言える。
 
こういう映画音楽もあるのかと思ったのは、他には、ミュージカル映画ではあるがミシェル・ルグランくらいだろうか。

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