メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

日本の中のマネ

2022-10-16 14:44:05 | 美術
日本の中のマネ(出会い、120年のイメージ)
練馬区立美術館 9月4日(日)~11月3日(木)
日本にあるエドゥアール・マネ(1832-1883)のそう多くはない作品のいくつかと、マネに影響を受けたとみられる画家、そしてマネを題材に使って展開した現代日本の作家作品などからなる展示である。
 
私もマネはモネなどいわゆる印象派の作家とは少し距離を置いて(ひねくれている感じもある)いるものの、彼らに近い存在と見ていた。ところがどうもそうではなくて、マネは手法を提示したり流派に参加したりとうことはほとんどなく、まずはサロンに入選し当時のパリで評価されることをめざしていたようだ。
 
今回の少数の展示でも、まず気がついたのは、画家の眼のよさである。それは顔、ポーズの切り取りとその描き方、タッチなど、見ていておもしろい。デッサンのエッチングからもそれはうかがえる。
 
「草上の昼食」、「オランピア」、「笛を持つ少年」そのほかマネの受容と自らの絵への反映は、当時の日本の洋画界の技術的なレベル、主要テーマへの理解にいまだしというところもあったようだが、それでも取り込もうという動きはなんらかのものを後にもたらしたかと思う。
 
村山槐多が「日曜の遊び」という「草上の昼食」に影響を受けたとみられるなんと1.8mX2.3mもある巨大な絵を残していたのには驚いた。出来としてはほほえましいが。
 
現代作家の批評性がみられるものでは、有名な森村泰昌と福田美蘭、私はどちらかというと福田のものが一見きれいだがその奥に複雑なものを秘めているように感じられた。

そのほか国内にある印象派作品がいくつか展示されていて、その中でははじめて見る「雪の断崖」(クールベ)が秀逸。

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