メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ハワーズ・エンド

2021-05-04 13:59:58 | 映画
ハワーズ・エンド( Howards End、1992英・日、143分)
監督:ジェームズ・アイヴォリー、原作:E・M・フォースター
エマ・トンプソン(マーガレット)、ヘレナ・ボナム=カーター(ヘレン)、アンソニー・ホプキンス(ヘンリー)、ヴァネッサ・レッドグレーヴ(ルース)、サムエル・ウェスト(レナード・バスト)
 
20世紀初頭のイギリス、ロンドンでドイツに縁のあるらしい知的なシュレーゲル家、未婚の長女マーガレットと次女ヘレン、慎重とちょっと大胆、いかにも絵にかいたような姉妹が、近くに来たウィルコックス家、実業家ヘンリーが率いる現実的な一家であるが、ここと縁が出来てつきあいが始まる。
 
ヘンリーの母ルースはマーガレットと気が通じるようになり、領地の一部ハワーズ・エンドを譲ると言い出すが死んでしまう。遺族はその意志を無視しようとするが、寡のヘンリーはマーガレットと結婚しようということになる。
 
その後、ヘンリーの弟たち、ヘレンと職探しに苦労するバスト夫婦との9つながり、ヘンリーの触れられたくない過去など、さまざまに絡み合うが、その展開で、ハワーズ・エンドの地と家が意味を持ってくる。
 
登場人物たちのやりとり、細かいことでもいい加減にせず、日本人から見ると他人に厳しい、その一方で徹底的に問い詰めることは少なく、そのあとに寛容というか、そういうところを用意している、というように見える。原作者フォースターの意図するところなのだろうか。でもそうならないことが結末の一撃になるが、そのあとには救いも用意されている。
 
俳優たちはイギリス映画豊作の時代の名優たちであり、じっくり見る楽しみがある。エマ・トンプソンはこれでオスカーをとった。でも彼女にとって、もう少しいい作品・演技もあったと思うが。
同じアイヴォリーの「眺めのいい部屋」以来私が好きなヘレナ・ボナム=カーターはここでも格別である。
 
そしてこの映画では、やはり自然、木々、花々、室内の調度、装飾が観る楽しみとストーリーを支えるものとなっている。イギリスの田舎の自然、たしかにフランスの庭と反対でいかにも設計され作られたものではないのだが、それでもそのままというわけではない。
それともうこの時代かなり普及している列車、自動車、これらもなかなかいい風景、道具となっている。

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