メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ピカソ展(サントリー美術館)

2008-11-11 10:59:05 | 美術
「巨匠ピカソ 魂のポートレート」(サントリー美術館、10月4日~12月14日)
パリの国立ピカソ美術館改装中の世界巡回展、これと先日行った「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」(国立新美術館)で一まとまりということになる。
 
国立新美術館の方は、ピカソがかかわった何人もの女性とその時代の作品というとらえかたも出来るが、次から次へと出てくる創作スタイルに圧倒されながらも、画家の全体を見渡すことが出来る。
 
一方、こちらは自画像というテーマが中心で、より内面的なところを期待したのだが、何か欲求不満のまま終わってしまった。写真であれ、また何かの企画展で見たものが多く、彫刻などはおそらく別コピーがブリヂストン美術館にあるものもあって、それほどの驚きはない。
 
もう一つ、気分が乗らなかったのはサントリー美術館のせいもある。この新装なったところ(六本木ミッドタウン)に入るのは初めて、赤坂見附サントリービルの上にあったときのことを思い出しても、日本美術中心のようだ。それだからか全体に照明が暗く、またガラスのショウケースの中のものを見ることが多く、このときの映りこみも気になる。西洋絵画を見る環境ではない。
 
一方の半券で割引とか、1日で両方見る人もいるだろう、とか近くの二館で開催する都合でサントリー美術館にしたのだろうが、これはブリヂストン美術館とか別のところで見たかった。
あるいは、料金が高くなってもいいから、国立新美術館でまとめて見せる方法はなかっただろうか。

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私がクマにキレた理由(わけ)

2008-11-07 21:36:48 | 映画
「私がクマにキレた理由(わけ)」(The Nanny Story、2007年米、106分)
監督・脚本:シャリ・スプリンガー・バーマン、ロバート・プルチーニ
原作:エマ・マクローリン「ティファニーで子育てを」
スカーレット・ヨハンソン、ローラ・リニー、アリシア・キーズ、クリス・エヴァンス、ニコラス・リース・アート、ドナ・マーフィ、ポール・ジアマッティ
 
私のようにすでにファンである人にとっては「ブーリン家の姉妹」より楽しめる。さんざん作りこんだ力の入った演技というよりは、脚本がそうさせた結果として自然流に見える演技になっている。日本の女優でも同じ20代前半で似たタイプがあるけれど。
 
なにしろ、出てこない場面がない。台詞、笑い、コミカルな動作、いずれも彼女がやると、こちらに気持よく入ってくる。
 
ニューヨークの上流階級のご婦人たち、小さい子供がいて、しかも仕事や付き合いを言い訳に子供は子守に預けっぱなし。その子守に、なぜか大学で人類学を学んだものの、就職で決心がつかなかったスカーレットがしばらくなって、その家庭、男の子などと繰り広げるどたばたと、セオリーどおりの結末。
 
脚本はすこしゆるい。もう少し緩急とわさびがきいて欲しいといえばそうだ。それにロケーションも他の映画で見慣れたところが多く、博物館など最近みた「ナイトミュージアム」とかぶってしまう。それでも、たしかに、スカーレットをここにもってきたのがうまくいった原因だだろう。彼女としても、ニューヨーク舞台の話で、キャリア・ウーマンなどやらなかったのは正解で、その場合だと、意外と出てくる味の出しようが少ないし、まず現代では身長が足りない。この映画では下半身をあえて絞ってないのだろうが、日本人にも親しみがわくプロポーションである。
 
ローラ・リニーは期待通り、いやな夫役の名優ポール・ジアマッティは、ここではいやな夫に徹していた。
スカーレットに言い寄るハーヴァード生役クリス・エヴァンスは、以前注目した「セルラー」の若者役に比べると、これも好青年に徹している。
 
とすれば、この映画はいい役者をステレオタイプの役にはめ込んで、あまりはみ出ないで味が出た(結果として)もの、といえるかもしれない。
 
随所に出てくる傘、そして挿入される歌から、「メリー・ポピンズ」が意識されているのは私でもわかるが、その映画を見ていないので、これもナニー(子守)の話というそれ以上のことはわからない。
 
なぜこの邦題か、ということは最後にわかる。なんとなくそれに似た一連のことを連想し期待させるものとして、よく出来たタイトルだ。
 
スカーレット・ヨハンソンは長身とは思ってなかったけれど、北欧系の女優としてはかなり小柄だなと思ったのは「ブーリン家の姉妹」で、姉アン役のナタリー・ポートマン(160cm)とほぼ同じだったことからで、調べたところ163cmだそうだ。

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