「ローラーガールズ・ダイアリー」(WHIP IT 、2009米、112分)
監督:ドリュー・バリモア、原作・脚本:ショーナ・クロス
エレン・ペイジ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、マリア・ショーカット、ダニエル・スターン、ジミー・ファロン、アンドリュー・ウイルソン、ジュリエット・ルイス、クリスティン・ウィグ、ドリュー・バリモア
日本でも1960年代後半にTVでかなり放送されたローラーゲーム、それに加わることになった高校生(エレン・ペイジ)が、娘をいろいろなコンテストで優勝させることに熱心な母親との葛藤に悩まされながら、最後は、、、という青春映画にはよくありそうなものである。
とはいえ、この映画はよくできていて、気持ちよく見ることが出来る。ドリュー・バリモアはこれまでプロデュースにも随分かかわっているけれども、「2番目のキス」(2005)などではこの分野での才能をうかがわせていた。そしてこの作品が初監督だそうである。
生まれたときから映画に囲まれていたからか、まずセンスがいい。それも描きすぎない、くどくならないところが秀逸である。ふつうならポイントになる場面で、セリフ、カメラワークなどにこってたっぷり撮るところを、それは撮ったあとの編集の結果かもしれないが、あっさりと次の場面に移っていく。しかし見ているものはその間に何があったかは容易にわかる。それがいいテンポになっている。最後のゲームシーン、そして結果は男が作るともっと違ったものになったかもしれないが、「コンテスト」との対比からはこれでいいのだろう。
エレン・ペイジは小柄だが期待の人らしく、可憐でありここではぴったりはまっている。それにローラーゲームでの役割は、どちらかというと格闘ではなく、得点をかせぐ身のこなしが軽いスピードスケーターだからこれでいいのだろう。原題にあるWhipは彼女のような役割(ジャマーという)を味方がその腕をつかんで前方にムチをうつように放り投げる動作からきている。
母親役のマーシャ・ゲイ・ハーデンが存在感を出している。どこかでと思ったら、「ミスティック・リバー」だった。父親役ダニエル・スターンもこれまたどこかでと思ったら「ホーム・アローン」の泥棒役。
ジミー・ファロン、アンドリュー・ウイルソン(オーウェン・ウイルソンの兄)あたりは、監督にとってコメディ映画仲間なんだろう。
ローラーゲームは私の世代には親しいが、その後あまり話題にならなくなった。米国でもメジャーではないのだろうが、バリモアの眼のつけどころはなかなかである。
米国では特に女の子には様々な「コンテスト」があるようで、こういうことへの親の思い入れは、日本よりもむしろ強いのだろうか。秀作「リトル・ミス・サンシャイン」(2006)にもそういう背景があったようだが。