こんばんは。
ホームヨーガの今月のテーマは「しかばねのポーズ」です。「しかばね」なんて縁起でもない!なんて思って、わざわざ違うアーサナ名を作っているかたもおいでかもしれませんが、実は「しかばね」という言葉に深い意味があるのです。
至道無難禅師というかたがいらっしゃいました。禅師は「正法眼蔵」や「碧巌録」などに心酔したかたですが、一般庶民に禅をわかりやすく教示されたかたでもあります。
「生きながら 死人となりて なり果てて 思いのままに するわざぞよき」
この歌は禅の目指すところを明確に歌っています。自分を縛りつけている縄がなんと自分自身であったということに気づいたとき、束縛から自由になるという心境をこのような歌に託しました。
「しかばねのポーズ」がアーサナの本命と言われる所以です。
さて、大分前の話ですが、あるクラスに言ったとき、「しかばねのポーズ」になった途端、消灯係(?)の生徒さんが、電気を「バチバチ」と消しにいかれたので驚いたことがありました。
このような条件付けは好ましくないと思いました。そういう条件付けは、そういう状態でなくてはくつろげなくなるからです。音楽を流すのも同様です。
さて、話は変わりますが、アメリカの「シヴァーナンダ・アーシュラム」は、朝、爽やかな屋外でアーサナを行っていました。最初に行うのが「しかばねのポーズ」です。これは亡くなられたインドのシヴァーナンダ・アーシュラムの総長、チダーナンダ老師も実践されていました。
「しかばねのポーズ」は日常の疲労を除去して心のリラックスをもたらすものですから種々のアーサナを行う前に各自で行うのはとても有効なんですね。
あくまでも「アーサナ」による疲労の除去でないことに注目してくださいね。「アーサナは安定した快適なもの」のはずですから…。(荻山貴美子)