[遅くなりました…]
『率直なことを言うと手元がおぼつかず
練習通りの完璧なものが出来なくて
ちょっと正直悔いてます。
引っ張られて歌えなかった人たちもいると思うから
そこに関しては本当に申し訳ない……』
バックステージ。
智くんがゆっくり近づいて来たかと思ったら
誰にも気づかれないようにそっと手を繋いだ。
「……!」
突然の行為に驚いて智くんの顔を見ると
智くんは特に気にする風でもなく
すました顔で手を繋いだままいる。
「……」
「……」
しばらくされるがままの状態で智くんと手をつないでいたら
少しずつ気持ちが落ち着いてくるのが分かった。
智くんは本当に不思議な人だ、と思う。
普段ぼーっとしているように見えて意外と人の事をよく見ている。
普通グループのリーダーというと前を率先して
歩いていくイメージだけど智くんは違う。
いつも一歩後ろに下がった状態から自分達4人の事を見ている。
そして人の感情の変化とかにも敏感でよく気が付く。
だから今回の事もすぐ気づいたんだろう。
「これ終わったら行くからね」
そう言って、有無を言わせない位の
飛び切りの可愛らしい笑顔を向けると
ぎゅっとその握っている手に力を込めた。
シャワーを浴び部屋に戻ると
先にシャワーを浴びた智くんがソファの上に足を抱え
体育座りの状態でちょこんと座ってテレビを見ている。
“かわいい。こんな32歳って”
そう思いながらその可愛らしく座っている
智くんの横に腰を下ろしその姿を盗み見る。
“あぁ、かわいい”
その可愛らしくテレビを見ている姿を眺めているだけで
疲れが吹っ飛ぶような気がした。
しばらくテレビを見ているふりをしてその姿をぼんやりと眺める。
“さすがに疲れたな”
智くんも疲れたんだろう。
しばらくお互い動くこともせず、ただついているだけの
テレビを眺めながら時間だけが過ぎていく。
「翔くんのピアノ、素敵だったよ」
しばらくぼーっと智くんとテレビとを交互に眺めていたら
突然ぽつりと小さくつぶやいた。
「……」
その言葉に何と答えていいのか分からず
智くんの顔を見る。
「本当は翔くんが納得できる演奏が出来たら
一番よかったんだろうけど、ね」
そう言ってこちらの顔を見る。
そして目が合うとにっこりと微笑んだ。
“全部知っている”
そう思った。
「……」
やっぱり何も言えず、
その可愛らしく微笑む顔を眺めていると
智くんが、でしょ?って感じで首を傾ける。
「俺、翔くんのピアノ好きだよ」
何も言うことができず無言のまま、その綺麗な顔を見つめていたら
智くんはそう言ってゆっくりと両腕を伸ばしてきた。
そして身体全体をその華奢な身体で包み込むように抱きしめてきた。
「……智くん」
突然の思いもしない智くんの行為にびっくりしながらも
そのまま身体を預ける。
気付くと背中に回っていた智くんの手が優しくぽんぽんとする。
涙が零れ落ちそうになった。
「智くん」
もう一度抱きしめられたままの状態で名前を呼ぶ。
「なあに?」
智くんが優しい声で聞いてくる。
何と言っていいかやっぱり分からなくて何でもないよ、と言うと
智くんは抱きしめた状態のまま、んふふっと笑った。
しばらくそのまま身体を預け抱きしめられていたら
色々な思いが剥がれ落ちていって
少し気持ちが楽になったような気がした。
智くんは回していた腕をゆっくり離す。
そして至近距離で顔を見つめる。
きっと涙で潤んでいるであろう自分の瞳を見られるのが
何だか気恥ずかしくて下を向くと
智くんは両手を包み込むように頬に手をあてる。
「翔くんのピアノ素敵だったよ」
上を向かされ目が合うと、もう一度そう言ってにっこり笑った。
「……ありがと、智くん」
いつも多くを語る人じゃない。
でも、いつも助けられている。
多分本人は気づいていないだろうけど。
「智くん、好きだよ」
「ふふっ、知ってる」
好きと言うと智くんは手を頬にやったままにっこりと笑って
知ってる、と答える。
好きという言葉だけじゃ、とても足りない。
大切な存在で。
大事にしたい人で。
自分にはなくてはならない人。
「智くん、愛してる」
そう言うといつも照れくさそうに笑う。
そのままソファにゆっくりとその身体を押し倒すと
智くんの手が背中に回ってきた。
そのままゆっくりと顔を近づける。
目が合うとお互いにニッと笑う。
そのままゆっくりとその唇に唇を重ねる。
そしてそのまま深い深いキスをした。
『率直なことを言うと手元がおぼつかず
練習通りの完璧なものが出来なくて
ちょっと正直悔いてます。
引っ張られて歌えなかった人たちもいると思うから
そこに関しては本当に申し訳ない……』
バックステージ。
智くんがゆっくり近づいて来たかと思ったら
誰にも気づかれないようにそっと手を繋いだ。
「……!」
突然の行為に驚いて智くんの顔を見ると
智くんは特に気にする風でもなく
すました顔で手を繋いだままいる。
「……」
「……」
しばらくされるがままの状態で智くんと手をつないでいたら
少しずつ気持ちが落ち着いてくるのが分かった。
智くんは本当に不思議な人だ、と思う。
普段ぼーっとしているように見えて意外と人の事をよく見ている。
普通グループのリーダーというと前を率先して
歩いていくイメージだけど智くんは違う。
いつも一歩後ろに下がった状態から自分達4人の事を見ている。
そして人の感情の変化とかにも敏感でよく気が付く。
だから今回の事もすぐ気づいたんだろう。
「これ終わったら行くからね」
そう言って、有無を言わせない位の
飛び切りの可愛らしい笑顔を向けると
ぎゅっとその握っている手に力を込めた。
シャワーを浴び部屋に戻ると
先にシャワーを浴びた智くんがソファの上に足を抱え
体育座りの状態でちょこんと座ってテレビを見ている。
“かわいい。こんな32歳って”
そう思いながらその可愛らしく座っている
智くんの横に腰を下ろしその姿を盗み見る。
“あぁ、かわいい”
その可愛らしくテレビを見ている姿を眺めているだけで
疲れが吹っ飛ぶような気がした。
しばらくテレビを見ているふりをしてその姿をぼんやりと眺める。
“さすがに疲れたな”
智くんも疲れたんだろう。
しばらくお互い動くこともせず、ただついているだけの
テレビを眺めながら時間だけが過ぎていく。
「翔くんのピアノ、素敵だったよ」
しばらくぼーっと智くんとテレビとを交互に眺めていたら
突然ぽつりと小さくつぶやいた。
「……」
その言葉に何と答えていいのか分からず
智くんの顔を見る。
「本当は翔くんが納得できる演奏が出来たら
一番よかったんだろうけど、ね」
そう言ってこちらの顔を見る。
そして目が合うとにっこりと微笑んだ。
“全部知っている”
そう思った。
「……」
やっぱり何も言えず、
その可愛らしく微笑む顔を眺めていると
智くんが、でしょ?って感じで首を傾ける。
「俺、翔くんのピアノ好きだよ」
何も言うことができず無言のまま、その綺麗な顔を見つめていたら
智くんはそう言ってゆっくりと両腕を伸ばしてきた。
そして身体全体をその華奢な身体で包み込むように抱きしめてきた。
「……智くん」
突然の思いもしない智くんの行為にびっくりしながらも
そのまま身体を預ける。
気付くと背中に回っていた智くんの手が優しくぽんぽんとする。
涙が零れ落ちそうになった。
「智くん」
もう一度抱きしめられたままの状態で名前を呼ぶ。
「なあに?」
智くんが優しい声で聞いてくる。
何と言っていいかやっぱり分からなくて何でもないよ、と言うと
智くんは抱きしめた状態のまま、んふふっと笑った。
しばらくそのまま身体を預け抱きしめられていたら
色々な思いが剥がれ落ちていって
少し気持ちが楽になったような気がした。
智くんは回していた腕をゆっくり離す。
そして至近距離で顔を見つめる。
きっと涙で潤んでいるであろう自分の瞳を見られるのが
何だか気恥ずかしくて下を向くと
智くんは両手を包み込むように頬に手をあてる。
「翔くんのピアノ素敵だったよ」
上を向かされ目が合うと、もう一度そう言ってにっこり笑った。
「……ありがと、智くん」
いつも多くを語る人じゃない。
でも、いつも助けられている。
多分本人は気づいていないだろうけど。
「智くん、好きだよ」
「ふふっ、知ってる」
好きと言うと智くんは手を頬にやったままにっこりと笑って
知ってる、と答える。
好きという言葉だけじゃ、とても足りない。
大切な存在で。
大事にしたい人で。
自分にはなくてはならない人。
「智くん、愛してる」
そう言うといつも照れくさそうに笑う。
そのままソファにゆっくりとその身体を押し倒すと
智くんの手が背中に回ってきた。
そのままゆっくりと顔を近づける。
目が合うとお互いにニッと笑う。
そのままゆっくりとその唇に唇を重ねる。
そしてそのまま深い深いキスをした。