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きらり

ALL or NOTHING Ver.1.02 1

2015-11-17 13:38:02 | ALL or NOTHING Ver.1





ALL or NOTHING Ver.1.02


(注 これは詞の内容というより2002年に少クラで披露した時の曲の雰囲気、そしてその時の智さんがイメージです)











この世の中は欲で溢れている。



満たされる事は決してなく後から後から出てきて



それは留まるところを知らない。











何でこんなに人がたくさんいるのだろう。







「やっぱ櫻井、お前連れてきてよかったよ」

「……は?」

「だってさっきから次から次へと女の子のほうから
声かけてくるじゃん」

「それは、ここがそういう場所だからですよね?」

「違えよ、お前の顔だよ、そのカ・オ」



そう言って会社の先輩である吉田さんはニッと笑った。








彼女と別れ落ち込んでいたのを心配し
気晴らしにと連れてきてくれたこの空間は
ネオンが灯り、絶え間なく音楽が鳴り響く。


そこにいる人は皆、思い思いに酒を飲み、雑談し
音楽に合わせダンスを踊る。
そして、知り合いであろうが他人であろうが
誰もが気軽に会話を楽しむ。


そんな場所だった。



だからその雰囲気に合わせ
酒を楽しみ、音楽に酔い、そして軽い会話を
満喫すればいいのだろうけど
今は、そんな気分にはなれない。






そんな風に思っていた。








あの時までは。











話しかけてくる女の子は皆綺麗で
華やかに彩られているけど、何かが違う。
大学時代だったら、もしかしたら楽しめていたかもしれないけど
社会人になった今
そしてこの状況では、それも何だか難しい。


そんな事を思いながらフロアで踊り楽しんでいる姿を
誰ともなくぼんやりと眺めていると
数人の女の子達が一緒に楽しもうと話しかけてきた。



またか。


正直、どんなに可愛い子が来てもこの自分のテンションが
変えられるとは思えなかった。
話しかけてくる子達はどれも似たり寄ったり。
可愛いくて綺麗かもしれないけど何かが
自分の中で違うと思ってしまう。








「ちょっと失礼」

「どこ行くんだよ?」

「トイレですー」


そう言って席を外した。


ああ、メンドクサイ。


面倒くさくて死にそうだ。


酒ならゆっくり飲みたい。
こんな煩いところではなくもっと落ち着いた店で
静かに飲みたい。


そう思いながら人ごみをかき分けトイレへと向かう。
後ろから、えー?とか、何でよーとか、ちょっとーとか
文句言ってる声が聞こえてくるけど、そんなの知らねえ。
トイレぐらい自由に行かせろってんだよね。


それよりお世話になった先輩の誘いじゃなかったら
一刻も早く家に帰って湯船にでも浸かって
ゆっくり酒を飲みながら寝たかった。







そんな事を思っていたら


突然、わぁーっと歓声が上がった。


その歓声がある方に視線を送る。


その視線の先には周りがスペースが空けられ


一人の男性が踊っている姿が見えた。


「……?」


あれは、ブレイクダンスというのだろうか?


周りの者がスペースを空けたその中心で


一人の男性がダンスを踊っているのが見えた。


すげえ…


その軽やかで体重を全く感じさせないダンスは


見ている者すべてを魅了し興奮させている。


その惜しみないリズム感と身体能力に


誰もが息をのんで見守っていた。


何者だ?


踊っている男性の顔をよく見ようと近づいた瞬間、目が合った。


その視線に、胸がドキッとする。


視線はすぐに外されたが、そのまま見つめる。


男性は全く気にしていないようで踊り続ける。


その、薄茶色の髪の毛。


柔らかそうなその少し長めのその髪は


後ろに自然に流してあってその色白の顔にとても似合っている。


とても綺麗な子だ。


男の人に綺麗というのはおかしいかもしれないけど


ここにいる化粧で彩られている女性達よりもよっぽど


綺麗という言葉が似合う気がした。










そして、そのしなやかな肢体。



華奢な身体に見えるが腕には程よく筋肉がついている。
踊っている時に腹部もちらっと見えたが
腹部にも程よく筋肉がついているのが見て取れた。


って男性相手に何見てんだろ。
自分自身に思わず突っ込んだ。


気づくとその男の姿はなくなっていて人だかりも消え
周りは通常の状態に戻っていた。


「……」


あの男性は?
周りをきょろきょろと見渡したがその男の姿はもうどこにもなかった。


といっても。
顔はよく見るとまだ幼い感じで男性というよりかは
男の子とか少年といった言葉がぴったりな気がする。
あんな感じでもここにいる位だから成人しているだろうか。
でも、とてもじゃないけど高校生くらいにしか見えなかった。





自分でもよくわからないけど、その少年の事がなぜか気になっていた。