年代物の重厚な扉
綺麗な手から作り出されるカクテル
落ち着いた客層
静かな音楽
暖かみのある照明
綺麗に磨かれ並べられたグラス
年代を感じるカウンター
アンティークな椅子
その場所が好きだった。
でも、もうこの場所には来ないで欲しいと言われた。
あの日。
その日は朝から雨が降っていて、他には誰もいなかった。
いつものようにここの雰囲気を味わいながら
大野の綺麗な手から作り出されるカクテルを眺めていた。
そしてその手から差し出されるカクテルを受け取ろうとしたその瞬間。
冷たい空気がふっと流れたような気がした。
何だろうと顔を上げると、思いつめたような顔をした大野に
もうこれでここに来るのは最後にして欲しいと言われた。
だから。
だから仕方なく他の場所を求めた。
今日はこっちのバー
翌日はあっちのバー
ここの代わりとなれる場所を探し求める。
新しくて綺麗なバー。
この場所と似た雰囲気の年代を感じるバー。
おいしいカクテルを出してくれるバー。
綺麗な女の人がたくさんいるバー。
行き場を失った穴を埋めてくれる場所であれば、どこでもよかった。
夜景が綺麗で有名なところ。
海が見えるロマンチックなところ。
賑やかで煌びやかなところ。
雰囲気があって落ち着いたところ。
でも代わりとなる場所はどこにもなくて、
行き場を失った俺はまた大野のいるそのバーを訪れた。
なぜ自分がそんなにも固執するのか。
本当は自分自身気付いていた。
高校の時、松潤と大野が付き合っているという噂が流れた。
確かに二人は仲がよかった。
肩を寄せ合っていたり、顔を近づけて話していたり。
でも。
そんな噂が流れても
仲が良すぎるくらいの姿を見ていても
何か違うと思っていた。
それは多分大野が自分に好意をよせていることに気付いていたから。
いつも、いつでも視線は自分へと注がれていたから。
だから大野が自分の事を好きであるという事を知っていた。
だけど。
仲が良すぎる二人。
二人が付き合っているという噂。
二人がイチャイチャしている姿。
それに対して周りがキャーキャー言う声。
それまで大野に対して何とも思っていなかったのに
それを目にする度にイライラして仕方なかった。
そしてそれを気にしている自分が一番バカみたいで嫌だった。
だから大野に対して余計ムカつき酷い態度をとった。
でも。
なぜか心のどこかでは大野はまだ自分への好意は変わらないだろうと思っていた。
キスをした場面を見てしまった時もあった。
冷たく接し俺の事を全く見る事もなくなった。
それでもその思いは変わらなかった。
そしてそれは卒業しても、そして数年ぶりにあった同窓会でも、そう思っていた。
だから。いや、だからなのか何なのか自分でもよくわからない。
忘れていたはずなのに、その姿を見かけた途端。
なぜか大野の事が気になって大野の働くバーを突き止めそしてここに通った。
でもそれはただ自分がそう思っていただけで本当は違ったのか。
それでもなぜか再びこの場所へとやってきて、そして酒を飲んでいる。
そして大野が仕事を終えるのを待ち、
一刻も早く帰りたがっている大野の手首をつかみそれを引き留めている。
一体自分でも何をしているのかわからない。
ただ謝ろうと思っていた。
来ないで欲しいと言われたのに今日来てしまった事。
高校の時の事。
今までの事。
でもそれまでの事もあっての事だろう、
そして今さらという思いもあるだろう
大野が困惑しているのがありありとわかった。
そして困惑しながら掴まれたままの手首と俺の顔を交互に見ている。
そして困惑している姿を見ながら困り果てている自分自身。
自分でも何をしてるのか、そしてどうしたらいいのかわからない。
本当は高校の時から大野の事が気になっていた。
そして大野から向けられる視線の意味。
だから余計ムカついたしイライラしたし、ショックを受けた。
でも自分の思いに気付かないふりをしていた。
自分の気持ちに見てみぬふりをしていた。
言いたいことはたくさんあった。
高校の時の事。
そして同窓会での時の事。
そしてこのバーでの事。
そして大野に対しての自分の思い。
本当は凄い凄いと言われ伝説となった大野の踊るダンスも見たかった。
放課後ずっと残って教室で練習をしていたのを見ていて知っていたから。
図書室での勉強を終えるといつも用がなくても教室に戻り、
そして陰で努力し続けるその姿を見ていたから。
だから本当は見たかった。
だけどその時は文化祭なんてくだらないとそう自分自身に言い聞かせ
なぜ成績に全く関係のない事に夢中の慣れるのかとそんな冷めた目で見ていた。
だから見に行かなかった。
でも陰で努力し続ける姿も、数々の才能に恵まれながらもそれをひけらかさないところも
同級生から慕われている姿も自然と人が寄ってくる姿もずっと見ていた。
そして目鼻立ちがはっきりしていて目立つ松潤の影に隠れて目立たなかったけど
その綺麗な顔も、優しい性格も知っていた。
でも自分の気持ちに気付かないふりをして
そしてくだらないと自分に言い聞かせて
学校行事もろくに参加せず勉強ばかりして
見ぬふりをしていた。
本当は、
好きだったのに。
でも、今更気付いてももう遅いのだろうか。
「はなして」
何かを考えていたのだろうか俯いていた大野がゆっくり顔を上げ
俺の顔を真っ直ぐ見ると静かにそう言った。
そしてゆっくりと反対側の手を伸ばしてきて俺が掴んでいた手をはがそうとする。
それを抵抗をすることもできずただ見つめ、そして従う。
そして手がほどけると大野は何も言わず、そのまま静かに去っていった。
その姿を何も言えず
なにもできないまま、ただ見送った。
家に帰ってもイライラは収まらなかった。
何でアイツがあの場所にいたのか。
智とアイツの関係は何なのか。
繋がっているものは一体何なのか。
それとも智の言うように二人の間には何の繋がりもないのか。
だったらなぜアイツは?
そして智も。
何もかもが分からなくてイライラした。
全てはっきりとさせてしまいたかった。
でも惚れた弱みなのだろうか、智を傷つける事だけはしたくはなかった。
そしてこんな状況でもやっぱり智に甘い自分に苦笑いをする。
こんなにイライラしているのに。
でもこのイラつきをどうしたら…
遅い時間だったけど彼女を呼び出し、会った。
でもイライラは収まらなかった。
周りは綺麗で煌びやかなもので溢れている。
誰もが羨む世界。
華やかな人脈。
華やかな生活
華やかで綺麗な人々。
綺麗な彼女。
でもやっぱり智は違う、と思う。
ずっと見てきた。
ずっと好きだった。
でも女の子が相手だったら仕方がないと思っていた。
智に好きな子ができたなら心から応援しようと思っていた。
でもそれが違ったら?
それが櫻井だったら?
櫻井に会おう。
もう、心は固まっていた。
【おまけ】
『兄さんと一緒に見ていて』
『兄さんは?』
兄さん⁉
その思いがけない兄さん呼びの連呼に、何何? と3人で顔を見合わせる。
いや、確かにこれまでも大野さんに対して兄さん呼びは今までもあった。
でもなぜ、今、兄さん呼び⁉
まあ翔ちゃんにとって大野さんは一つ年上で確かにお兄さん的存在ではあるだろう。
でも、なぜに、今、兄さん?
兄さんと呼ぶたびに3人の頭の上には思いきり、はてなマークが浮かんでは消える。
とは言っても困惑している3人に比べ、相変わらず何でも受け入れてしまう大野さんは
平然と受け入れちゃって、普通に返事をしちゃってるけどね。
そんな事を思いながらまあ翔さんの中で兄さん呼びはブームだったのかな。
何て事を思い、すっかりそんな事も忘れていたある日。
何気なくテレビをつけていたら翔さんが番宣の為だろうかゲストで出ていて
その中でアニキ会というものが紹介されいた。
同じ番組に出ている人からアニキと呼ばれることに対してどうなのかと問われると
昔から同性から好かれ慕われる人の事が憧れで理想だと言っていた翔さんは
嬉しい事だと満面の笑みで答える。
ああ、そういう事か。
相変わらずこの人は大野さんに対して変わらないな。
そう思いながら画面に映る笑顔の翔さんを見て思わず笑みが浮かんだ。
「兄さん何飲む~?」
「……」
「ん?」
「何で兄さん?」
二人で部屋飲みをしようと酒の準備をしようとしたら
智くんは思いっきり頭にはてなマークを浮かべ聞いてきた。
「何でって俺にとってお兄さん的存在でしょ?」
「お兄さん的存在…」
そう当たり前のように答えると不満そうな顔。
「ダメ?」
「ダメじゃないけど…今は…」
「今は?」
「も、いい」
何だろうと不思議に思いながらそう聞くと
なぜか智くんはプイっと首を横に向けた。
「……へ?何?何?」
「うっさいなあ」
もしかして、怒って る?
何で? 俺なんか怒らすような事言った?
「え~だって気になるから」
「もう知らないっ」
「ごめん、ごめん」
「……」
慌てて謝る。
「……ね?」
「……」
でも智くんは相変わらずプイっとそっぽを向いたまま
こちらを向いてはくれないらしい。
「ね、智?」
でも、もしかして?
「……」
そう思いながら、智、と呼んでみたら
ようやくゆっくりと顔をこちらに向けてくれた。
「ごめんね、智」
「うっせえ」
照れているのか智呼びを連呼すると顔を真っ赤にしながらうっせえと答える。
その姿を見て可愛いなと思いながらも、ああ、そうかと思う。
「智、今日は何から飲もっか?」
「もうばかじゃないの」
こんな時くらいは兄さん呼びはないよね?
「ふふっ。ね、智キスしよう?」
「うるせーよ」
そんな事を思いながら、智キスしようというとますます顔を真っ赤にさせ
うるせーなんて言ってくるからその唇をふさぐようにチュッとキスをした。
本当は好きと尊敬と憧れの総称なんだけど、今は、違うよね。
「智、好きだよ」
なんて事を思いながら俯いていた顔を頬を包み込み上げさせると
そう言って、角度を変えもう一度唇を重ねそしてそのまま深いキスをした。
【untitled 感想】
すみません、お話ではなくてただの感想です。今更ですが💦
相変わらず遅いのです。。興味のない方はスルーで。
ハピネス。ニノちゃんにとってピアノだと。そして切なくなる曲だと。
こういうのが聞けたりするのがいいなぁと。今までのもぜひやってほしい。
そして全然関係ないですが切ないと言えば私は断然言葉よりも大切なものです。
MVを見ててもそうだしその時代に歌っていた姿を見ても切ない。
その時は何気なく見ていたのに、不思議です。
夜の影。ああいう風に軽く踊っている感じを見るのが好き。
肩から手首そして指の先まで動きが流れるようでいて躍動的でとても綺麗。
軽く踊っているのサマになっていて凄くかっこいい。
本番は相変わらずめちゃくちゃキレキレ。
松潤がいつも大野さんに振り付けをしてもらっても
ソロの時みたいな振り付けをしてくれないと嘆いてできあがったせいか
今回ソロ曲がなくても満足したのは、この曲があったのもあるかもなと思ったりして。
そして終わるとすぐに行ってしまうとニノちゃんが呟いていたのがツボです。
何だか心はもう夜の影にはなくてバズりナイトなのねって感じで。
大野さんにとっては時間との戦いで必死なだけだと思うのですが、
何だかニノちゃんはちょっと寂しそうなんですよね。そこがまたすごくいいです。
バズリないと。脱いだ後がめちゃくちゃ可愛いのですが。信じられない位可愛いのですが。
肩出してミニスカートはいて、何だか相葉ちゃんが照れて言ってるようにしか見えなかった。
翔くんも普通に大野さんの事しか最初言ってなくて、みんな凄いけどさって💦
後で気付いて誤魔化しているようにしかみえなかった。そういう翔くんが好き。好き。
そしてパペットダンス。これは日常で書いたのであれですがやっぱり凄いです。
そしてメンバーがああだのこうだの聞きだそうとしているのが好き。
色々誤魔化されちゃっていますが、そこも含めていい。
でも本当にあれは大野さん一人でやって正解だったと思います。
そしてそこからのつなぐ。重厚感がある衣装が本当に素敵。
一曲だけで少しもったいないような気もしますが、つなぐの世界観が凄く大事にされていて
この曲の衣装はいつもどれも素敵でそれも含めて愛を感じます。
そしてそのつなぐの衣装を脱いだ後の感じが凄く好き。おしり小さい。
歩いている姿がいつも猫背なくせにそれを微塵も感じさせないかっこよさ。
こういう衣装を見ると背はそんなに高くないけど、バランスが良くてスタイルいいなって凄く思います。
そして大野さんのソロに合わせてメンバーがノリノリで踊ってる感じが好き。特に翔くん。
そしてお気に召すままからのビタースイート。この流れ好き。
この曲は前奏聞いただけできゅんとくる不思議な曲。
なんででしょう、その前からずっと好きだったのにその時好きだった気持ちを思い出すというか。
そして美声で歌いながら、おいでおいでって合図を送るんですよね。
で、松潤が俺のこと? って確認してるのでしょう、わかってるくせに~っ。
それに対してサラっと美声で歌いながら、こたえるのがまたカッコいいんですよね。
で、それを見て仕方ないなって顔をしながらも嬉しさを隠しきれない松潤が近づいて行って。
こういうのをみると本当に小悪魔というか人たらしというか。
平静を装ってるけどものすっごく嬉しそうな松潤がまたいいです。
で、その後はニノちゃんと遊んでいたりして。
でも翔くんは別の場所にいるから歓声だけ聞こえて見えなかったと。
それをずっと気にしているところがやっぱり好きです。
それにしても汗が凄い。やっぱり大変だったんだろうなと。ずっと尋常じゃない量の汗がひいてない。
そしてやっぱソロは素敵。5人だったりユニットだったりあるけど、やっぱりソロは聞き惚れます。
ソロがあると違うなと感じさせてくれる一曲。
と、後半あるかわかりませんが前半はここまでです。
やっぱり大好きで追っかけてるのが(全然追いつけてないけど)毎日楽しいです。
昨日もMステがあったし、こういうのも書くのも好きなのです。
全然タイムリーじゃないしお話でもなくて本当に申し訳ないとは思っていますが💦
本編もちんたらしてますし更新もほんと遅くてこのままでいいのかと自問自答の毎日でもあります。
本当にすみません。。