TATSURO SHIBUYA + ARCHITECTURE LANDSCAPE DESIGN STUDIO

アーキテクチュアは建築、ランドスケープは景観。風景を生かす建築環境デザインに取組んでいます。

日本一の表具師

2016-01-27 23:27:15 | *上山の家/雪かきしながらトイレに行く家
現場もついに雪が降りました。


表具師さんときいて、どんな職能かわかる世代です。。

障子や襖紙の貼り替え、屏風や掛け軸など、室内装飾全般のことを表具といい、その道の専門家のことを表具師と呼びます。

私の幼馴染に、表具の技を競う技能コンクールで日本一になった、そんな凄腕の職人さんがいます。
今回、縁あって、というか、ほんとうに幸運なことに、古い襖紙の貼り替えをお願いできることになりました。



せっかくの機会なので、作業場にお邪魔してきました。
幼馴染とはいえ、仕事場では凛とした空気を感じます。

昔からの方法を駆使して昔からの材料や最新の材料を貼る技術。よい仕事。

新建材の普及や工期、コストなどの制約から、ホンモノを目にする機会がすくなくなっています。
ただ、そんな中でも技術を受け継いでいる若い世代がいる。とっても素晴らしいことだと思います。
そんな職人さんと仕事ができることを嬉しく思います。地方だからできることだと思います。
設計に携わる者のひとりとして、こうした技を発揮できるような建築の機会を、すこしでも多くつくっていきたい。そんな設計をしたいものだと、心から思います。



下地に貼られた昔の書損じの紙は、いま見てもかっこいい。
実際には見えなくなるのが、もったいない。墨で書かれているので、これ自体が防虫効果を持つそうです。
いまどきは、この書損じに似せたようなデザインの襖紙もあるんだそうな…(プリントなので、もちろん防虫効果はないそうです。)

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明けましておめでとうございます 2016.1.1.

2016-01-02 22:53:05 | *上山の家/雪かきしながらトイレに行く家
昨年中は、たいへんお世話になりました。
本年もよろしくお願い申し上げます。

新しい年が皆様にとって、実り多き年と成りますように。心からご祈念いたします。

山形でこんなに雪のないお正月は、はじめての経験です。


2015年を振り返ると、ほんとうにたいへんな一年でした。
大学を退官して故郷に戻ることが、これほど息苦しく、たいへんなことだとは想像もしていませんでした。
本当にこれまでの生活がガラリと変わりました。
これまで自分が取り組んできたことは、まったく相手にされませんでした(笑)。

建築だけではなく、地域おこしという地道な活動は、はっきりいって並大抵のことではできません。
個人的に、かなりの覚悟をもって取組んでいることも、世間一般では、当たり前のことでしかない。
地方では、それが日常なのです。
地域に入っていって、地道な活動に取り組んでおられる多くの先達の皆さんを心から尊敬いたします。

捨てる神あれば拾う神あり。これほど、人の温かさと冷たさを肌で感じたことはありませんでした。
心が折れそうになったことは一度や二度ではありません。
いや、実際には何度も心が折れました(笑)。
そんな中でも、応援してくださる方がいる。そんなご縁にとても感謝しております。

個人的な2015年の3大ニュース
・科学技術分野の文部科学大臣表彰「若手科学者賞」の受賞。

・長井駅に市民の意識を向けるために企画実施した地域おこしイベント、史上初の「ローカル線プロレス」が大きな話題に。週刊誌や新聞テレビラジオの全国ニュースにて報道。

・プライベートでは、思いきって清水の舞台から飛び降りたけど、実はバンジージャンプだった(笑)。

現在進行形の案件
・現在絶賛工事中の上山の家。
大人の事情で、詳しくは3月にお知らせできると思います。

断熱気密にこだわった築135年以上の古民家と蔵のフルリフォーム。
年末年始も、ずっと図面描いてます(笑)。
断熱材がモリモリ入っています(笑)。
断熱材をたくさん入れるだけで、こんなにも現場が暖かいなんて。建築の性能の違いを実感しています。
一方で、高断熱高気密にすると、窓まわりや開口部のディテールはかなりゴツくなる。どうしようもないレベル。
建築の性能に応じた開口部のディテール開発の必要性を感じています。

・中桜田の音楽スタジオのリノベーション。

・某ハウスメーカーさんのモデルハウスの開発。

・とっても素敵なご家族と一緒に取組んでいる小さくても豊かな雪国の住まい。

・羽生の家の2期工事。


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【上山の家】断熱材:超高性能グラスウールλ34

2015-11-21 09:03:14 | *上山の家/雪かきしながらトイレに行く家
現場に超高性能グラスウール(マグラムダλ34)が届きました。
うず高く積まれた断熱材の山!!
この量で、まだ全体の半分くらい。
圧縮パックに入っていて施工時には膨らむので、実際には3倍くらいのボリュームになるそうです。



上山の家では、この超高性能グラスウールですっぽりと覆います。
既に基礎には基礎断熱が施工済み。壁は付加断熱材といって、さらに断熱を2重にしていきます。


※λ(ラムダ):熱伝導率といい、熱の伝わりやすさを表します。数値が小さいほど高性能な断熱材となります。
λ34は、熱伝導率0.034w/m2・Kを実現したマグ・イゾベール社さんの超高性能グラスウールです。
http://www.isover-lambda34.jp/

雪国の住まいは、見えないところにお金がかかります。
積雪(積雪荷重)に耐える構造、暑さ寒さに耐える断熱、冬季の地面凍結(凍結深度)に耐える基礎。
とっても大切なこの3つは、いずれも竣工後は目に見えないところ。
それだけに、住まい手の理解もなかなか得にくい部分でもあります。
特に現行の断熱の基準は、いまのライフスタイルに対して、十分とはとてもいえません。

体感していただくのがいちばんわかりやすいですが、直接的には、日々の光熱費にも反映されます。
全体の予算(総工費)の約0.5~1割を断熱などの建物の基本性能をあげることに投資するだけで、日々の光熱費低減で十分に元が取れる計算になります。
個人的には、太陽光パネルをあげるのであれば、その分をこうした住まいの基本性能をあげるところにまわすことをお勧めいたします。


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【上山の家】現場ワーク 100年分の古材の汚れおとし

2015-11-15 21:28:19 | *上山の家/雪かきしながらトイレに行く家
昨日に引き続き、芸工大の学生さんや助っ人の皆さんと一緒に現場のワークをしました。
今回は、古民家の柱や梁といった木の架構の汚れおとし。

ゆうに100年以上の汚れが蓄積しています。
古材として、とってもアジがあるのですが、日常生活を送るうえで、長年蓄積した煤や埃が落ちてくるのは大問題です。
そこで、古材の表面をブラシでこすり表面の汚れを落とした後に、今度は重曹を溶いた水でひとつひとつ水拭きしていきます。
これが、予想以上に大変でした。

午前中は、本当に終わるのかと心が折れかけましたが、ワークに参加してくださったみんなのおかげで、夕方にはピカピカに!
とってもキレイになりました。

Before


After

※暗くなってから撮影しているので、わかりにくいですが、丸太の梁がほぼ、元の木の色に戻っています。

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【上山の家】現場ワーク 木材保護材(ウッドロングエコ)塗装

2015-11-14 21:57:06 | *上山の家/雪かきしながらトイレに行く家
山形で取組んでいる築135年を超える古民家のリフォーム案件。
非常勤講師をしている東北芸術工科大学の学生さんたちと現場ワークを行っています。
今日は、木材の保護用に自然由来の防腐効果をもつ木材保護剤「ウッドロングエコ」を塗りました。
セルフビルドが目的ではありませんが、建築づくりに参加していただくことで、建築をより身近に感じていただくような機会になればと考えています。

山形産の杉板を丸一日かけて塗りました。


外壁につかう杉板約300枚は、壮観でした。
塗ったそばから、どんどん色が変わっていきます。

つめたい雨の中、もくもくと取組んでくださった2年生から4年生までのみなさん、作業場所をご提供いただいた柏倉材木さん、本当にありがとうございました。

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干し柿づくり/初冬の原風景

2015-11-10 21:54:33 | *上山の家/雪かきしながらトイレに行く家
立冬もすぎ、燃え滾るような赤から落葉へと山の紅葉もかわりつつあります。

視界のどこかに必ず山が見えている山形では、山全体が真っ赤に染まる風景をこの目で見ることができます。
この距離感、この安心感。
当たり前のようでいて、とても豊かな日常の美しさ。山形に戻ってきて本当によかったと思えることのひとつです。

紅葉といっても、東京や愛知にいるときは、公園の木やその赤く染まった葉っぱといった目の前の部分にしか視線がむいていなかったことに改めて気づかされます。

初冬の風物詩、干し柿づくりがはじまっています。現場へ向かう道すがら、その美しさに感動しています。



すだれ状に皮をむいた柿がずらりと並ぶ風景は、上山の豊かな原風景のひとつ。
伝えていきたい景観資源。
懐かしさは美しさ。

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【上山の家】リノベーションアプローチによる新しい古民家再生の取組み

2015-10-28 20:33:02 | *上山の家/雪かきしながらトイレに行く家
山形でも古民家の再生に取組んでおります。
石場建ての伝統工法で建てられているため、基礎がありません。
そこで、上げ家(あげや)をして、一旦建物全体を持ち上げ、基礎と断熱層を構築しています。
これまで見たことのないような建設風景です。



黒谷プロジェクトで学んだ経験を生かして、雪国の住まいに相応しい、明るく温かい建築にしたいと考えております。
古民家再生というと、とかく伝統的な構法や材料にこだわった作り方を想像する方が多いと思いますが、私自身は、それ以上に、温かさや明るさなど、住まいの基本性能を上げて、建築の価値を高めること。そこで暮らす上での快適性の方が優先すると考えております。(けっして、従来の古民家再生を否定するものではありません。)

その意味では、黒谷プロジェクトも含めて、従来とは違ったアプローチによる、リノベーション(古民家再生)になると思います。

※リノベーション(Renovation)
古い建物に新機能を加え、性能や価値を高めること。

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