TATSURO SHIBUYA + ARCHITECTURE LANDSCAPE DESIGN STUDIO

アーキテクチュアは建築、ランドスケープは景観。風景を生かす建築環境デザインに取組んでいます。

東日本大震災のあと、私にもできたこと

2011-03-30 23:59:39 | 日々のくらし
東北人として、建築に携わる人間として、何ができるのか、それを噛締めながらこれからの生活を送ることになると思う。
東日本大震災で被災し、避難所生活をしている方々にとって、募金や節電に加えて個人レベルですぐにできることは、多くはない。しかし、何もやらないよりは、とにかく役に立つことはないか考え、行動することはけっして無駄ではないと思う。

今回、Twitterをはじめとしたインターネットを活用した情報共有が非常に役に立ったことは言うまでもない。そのなかで、私にもできたこととして、3月15日のブログ「24時間換気をやめる方法」の情報発信がある。

これは、現在も全く予断を許さない状況にある福島第一原発の事故で放射性物質が外部に放出され、付近の住民に避難指示が出された15日にいてもたってもいられずアップしたものだ。

NHKをはじめとしたメディア上では、「外出を避けること」や「窓を閉めること」、「換気扇を使わないこと」など放射性物質を屋内に入りにくくする手立てがアナウンスされていた。
しかし、住まいには建築基準法で24時間換気が義務付けられており、常に屋外の空気は屋内に取り込まれている。その事実にふれている報道はなかった。
そこで、誰でも簡単に24時間換気をとりやめるための手順を急いで取りまとめ、自分のブログに掲載した。(後から見れば、誰でもわかるような非常に簡単なことだが、その時点では、こういった情報が全くなかったのだ。)

次に、Twitter上で大きな発信力を持つと思われる朝日新聞社と勝間さんと茂木さんにRT(リツイート)の依頼を行った。勝間さん、茂木さんがすぐさまRTしてくださったおかげで、非常に多くの方に情報発信することができた。
以下は、当日のアクセス数だが、一日で13,559PVものプレビューがあり、1,552,723ブログ中、16位という個人のブログとしては驚異的なアクセス数があった。



もちろん、Twitter上でもたくさんの人にRTされ、ものすごい速度で情報が発信された。

今回の自分の行動がどの程度人の役に立ったのかは未知数だけれど、ブログのアクセス数と膨大なRT数は紛れもない事実。
一個人として、今回はブログを通じて実行できたが、今後はもう少し具体に行動していきたいと考えている。

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ケンチクカフェ #04

2011-03-28 23:59:52 | ケンチクカフェ
ケンチクカフェ・レクチャーシリーズ第1回は盛況のうちに無事終了いたしました。ありがとうございます。

ふだん、有名建築家の話を聞く機会はたくさんあるのですが、地域で活躍している建築家の方々のお話を聞く機会はほとんどありません。
今回、実際の現場の生の話を聞くことができたことはとても有意義でした。
建築という、一見難しそうなことの垣根をなくし、外に開いていく活動をこれからもどんどん続けていきたいと思いました。


さて、話が前後しますが、ケンチクカフェ#04は、震災の直後ということもあり、スイーツを非常食に変えて行いました。

学生の中には、阪神淡路大震災を経験した子もいるので、その時の経験談を話してもらい、情報共有をしました。

今回の地震で、学生と私が今すぐにできることは、とても限られています。
すでに募金や節電は実行しています。
かといって、ボランティアで現場に駆けつけることは、足手まといになりかねません。

そこで、「一日のうち、たった5分でもいいから、地震のことを考える」ことをやってみようと提案しました。
例えば、今回の地震でどんな問題が起きているのか調べてみること。
例えば、地震の時にどんな行動をとるのか自分の中で想像してみること。
例えば、これからの復興にどんな建築や都市が必要か考えてみること。

ひとりひとりが、日常生活の中で、頭の片隅で今回の地震のことを考えることは今すぐできることのひとつ。

直近の問題として、原発の事故がありますが、5年後、10年後あるいは20年後、50年後といった中長期のビジョンを考えることは、とても大切なことだと思います。

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ケンチクカフェ・レクチャーシリーズ第1回

2011-03-26 23:59:17 | ケンチクカフェ
大学の建築サークルでケンチクカフェ・レクチャーシリーズを企画しました。
3月28日(月)18:00~19:30 @豊橋駅近くの大学サテライトオフィス

ケンチクカフェは、毎月2、4月曜日に大学で行っている学生の学生による学生のための建築談義(?)のような活動です。
建築サークルは、設計コンペや学祭でのセルフビルドなどに日頃取組んでおりますが、ケンチクカフェでは、難しそうな敷居を取り払って、気軽にスイーツを食べながら、建築をもっと身近にすることを目指しています。

今年からは地域の方々との接点を少しずつ増やしていけたらと考えています。
レクチャーシリーズは、2ヶ月に1回程度の割合で、地元で活躍されている建築家の皆さんなどにお願いして、ご自身のことや地域で建築をすることなどについて伺っていく予定です。
第一回目のゲストは、太平洋設計事務所の橋爪さんです。

軽食をつまみながら、ゆるりとやっておりますので、ご興味のある方はお気軽においでください。

※一部の皆様には既にお声掛けいたしましたが、ブログでのご案内が直前となってしまい申し訳ありませんでした。

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「白鷹の家」が東北建築賞作品賞を受賞いたしました!!

2011-03-24 12:05:21 | *白鷹の家
このたび、「白鷹の家/SNOW LIGHT HOUSE」が日本建築学会第31回東北建築賞作品賞を受賞いたしました。
せんだいメディアテークにて一次審査を兼ねた東北建築作品発表会、その後、現地審査をふまえた二次審査を経て吉報が届きました。

こんな時だからこそ、明るいニュースは格別に嬉しいです。
クライアント様をはじめ、プロジェクトに関わった皆々様にこの場をかりて御礼申し上げます。
ありがとうございました。

第31回東北建築賞の決定について(講評転載)-------------------------------------------------------
作品名:白鷹の家/SNOW LIGHT HOUSE
この住宅は光と風を積極的に取り込みつつ、東北の長い冬を快適に過ごす方法を提案する意欲作
です。雪に閉ざされがちな雪国の住まいを、ここで考案された採光断熱壁によって、明るく、開
放的なものにしています。寒冷地において採光を確保するために開口を大きくすることは冬期の
熱的損失をもたらす危険もありますが、ここではポリカーボネイト複層板というローコストな材
料を使いながら、熱損失を最小限にとどめるよう考えられています。暖房は欧州で普及する木質
ペレットを燃料に使うストーブを導入し、設備面でも環境に配慮されています。また、大きく明
け放つことが可能な開口と、ワンルームのような室内に設けられた採光吹き抜けは、コンパクト
な住宅ながら外部からつながる伸びやかな空間を生み出し、夏には温度差換気を生み出すように
計画されています。全体的に木と紙をつかった空間は居心地の良い洗練されたデザインになって
おり、今後こうした環境性能をデザイン面からも追及する作品が東北にも多く現れることを期待
したいと思います。
詳細はコチラ(PDF)
東北建築賞について(日本建築学会東北支部のHP)はコチラ
-------------------------------------------------------------------------------------------

今朝は、街にモクレンの花が咲きはじめていたり、そこかしこに春の訪れの気配が感じられます。
どんな時も、春は必ずやってきます。

これから、10年、20年あるいは50年、それ以上という時間をかけて、ロスジェネ世代と呼ばれる私たちが中心となって、復興ビジョンをたて、具体化していかなければなりません。
これからも、一つ一つ丁寧に、真摯に建築や都市の設計に取り組んでまいります。

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ペレットストーブについて

2011-03-22 23:58:38 | *白鷹の家


白鷹の家では、ペレットストーブで主室の暖房を行っています。

木質ペレットと呼ばれる、木粉を固めたラムネ大の燃料(ペレット)を燃やして暖を取ることができます。
これは「木質バイオマスエネルギー」として二酸化炭素を固定するため、環境負荷を低減できるメリットがあります。

今回地震の影響で、各地で暖房の燃料となる灯油が不足する問題がありましたが、ペレットストーブでは灯油を使わないため、非常に役に立ったと聞きました。

ペレットストーブの導入には、補助金を出している自治体も少なくありません。設置にあたっては煙突の処理などが伴いますので、経験のある設計事務所や工務店さん等にお願いするのが良いと思います。
アーキテクチュアランドスケープではペレットストーブを基本に補助暖房としてエアコン等の併設をお勧めしています。

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タイベック/透湿防水紙

2011-03-20 16:49:54 | *白鷹の家
防護服にも用いられている「タイベック」は、建材として最もポピュラーな材料のひとつです。もちろん防護服に使用しているものと建材に使用しているものとでは、その厚みや仕様が異なりますが、建材としては流通量も非常に多くローコストな材料です。
タイベックは、デュポン社の製品名ですが、一般に「透湿防水紙」などとよばれ、広く住宅などに用いられる不織布です。

この不織布の大きな特徴は、水などを通さずに湿気を通すことです。そのため、壁内の結露等を防止するために外壁の下地材に用いられます。

白鷹の家」では、紫外線を防ぐことや、透光性にも優れた特性を活かして、無地のタイベックを2階部分の「採光断熱壁」や室内の内装仕上に全面的に用いています。

これにより、壁面全面からの自然採光を可能としています。晴れた日は日中、照明をつける必要がないほど明るいため、省エネルギー効果が期待できます。
逆に夜は室内の明かりでまちの行燈のようにやさしく周囲を照らすことができます。
また、素材の風合いが和紙に似ているのて、とても温かみのある仕上とすることができます。
「白鷹の家」では、身近にある材料をひとつひとつ丁寧に工夫して用いることで、ローコストでも実効性の高いサステナブル建築を実現しています。
高価な環境配慮技術を用いても、電気がないと動かなかったりするような場合も多く、非常時には、アナログでもその土地の日照や風向き、歴史風土に寄り添った設計手法の方が信頼できると私は考えております。
そして、日々その実現に取組んでいます。

タイベック仕上の内観の様子

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「大丈夫。また再建しましょう。」

2011-03-17 23:46:13 | 日々のくらし
3日ぶりに救助されたおじいさんがいった言葉。
「大丈夫。また再建しましょう。」


くじけそうになったとき、この笑顔、この言葉を思い出したい。
最後まで、あきらめないために。


これからの再建、復興を考えたときに、今までにもまして「安全」な建築が求められることは必須だ。
ただ、度を過ぎて保守的な、つまり安全至上主義のようになってしまうのではないかと心配している。
なぜなら、「今回のような地震がまたきたら耐えられますか?」。「今回のような津波に耐えられますか?」と聞かれたとき、既に答えは決まっているからだ。

安全であることは、もちろんとても大切なことだし、プライオリティーは間違いなく高い。
しかし、安全であれば、あとはどうでもいいという考えは違う。
建築の魅力はそれだけではない。

建築は、安全であると同時に、人びとを幸せにするものでありたいと私は思う。
その建築が建つ気候風土、歴史文化といった地域のコンテクストに寄り添って、一つ一つ丁寧に設計されたものでありたい。
建築単体ではなく、地域や周辺環境への社会的な影響を考えながら取組んでいきたい。
そして、人びとを元気づけるような、新しい建築でありたい。

おじいさんのあの笑顔のように。

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【お知らせ】24時間換気をやめる方法

2011-03-15 13:01:05 | 日々のくらし
福島第一原発で屋内に避難されている皆様へ
落ち着いて、以下の2つの操作を行ってください。

これは、放射性物質の屋内への取込を防ぐための、非常時の操作方法です。
この操作は建築基準法で定められている24時間換気をやめる操作なので、くれぐれも自己責任で判断して行ってください。
特に屋内で石油ストーブ等で暖房をしている場合は、一酸化炭素中毒にくれぐれも注意してください。


1.屋内通気口を閉じる

住宅には建築基準法で24時間換気が義務付けられており、ほとんどの住宅あるいはアパート、マンションの各部屋には「屋内換気口」が取り付けられています。通常の住宅ですと、おおむね各部屋に1箇所ずつくらいで設置されています。(換気計算にて算出して設置しています。)

これは、室内の空気を屋外とつなぎ、換気するため「穴」のようなもので、ここからも外気が入ってきます。
多くの場合、部屋の外に面している壁の上部か下部に設置されている以下のような写真のものです。
プッシュ式角型

プッシュ式丸型



外気をシャットアウトするために、この換気口を閉じてください。


代表的な換気口には「プッシュ式」と「スライド/回転式」の2つがあります。
「プッシュ式」は、換気口の蓋状の部分を手で押して開閉するもので、押すたびに出たり引っ込んだりします。
これを操作して、「蓋」を閉めてください。
操作方法などの詳細はこちら

「スライドあるいは回転式」の場合は、文字通り、換気口の下部もしくは中央部にあるレバー状の突起をスライドあるいは回転して「蓋」を閉めてください。
スライド式の詳細はこちら回転式の詳細はこちら

※注:「プッシュ式」、「スライド/回転式」などの名称は換気口の一般的な呼び方でメーカーごとに名称が異なる場合があります。



2.24時間換気用換気扇のスイッチを切る

同じく、24時間換気のために、24時間換気用の換気扇のスイッチが常時ONになっています。
多くの場合は、一箇所でお風呂場の換気扇かトイレの換気扇が24時間換気の換気扇を兼ねています。下記のようなスイッチです。






外気をシャットアウトするために、このスイッチを切ってください。


多くの場合、スイッチを切るか、電源ボタン長押しでスイッチを切ることができます。


以上です。
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冷静になろう!

2011-03-14 11:25:10 | 辛口な月評
被災地で避難所生活を送っている方々、現場で復旧作業にあたられている方々へ
心より、安全と健康をお祈りいたします。がんばろう!

避難生活が長期化するこれからが、大変なときだと思います。
どうぞ気を強く持って、最後まであきらめないでください。


そして、メディアの皆さんには、冷静に正確な報道をお願いしたいです。
国内のテレビはNHKがいちばん冷静で必要な情報を伝えているように思います。

海外のメディアの報道は客観的で冷静に状況把握が可能です。
たとえば、
New York Times
BBC
ABC News
CNN
Wall Street Journal
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東北地方太平洋沖地震

2011-03-12 03:05:34 | 日々のくらし
現在時刻は午前3時を過ぎたところ。
きのう11日の地震発生から12時間ほど経ちました。マグニチュード8.8(9.0に修正)は、国内観測史上最大規模です。
おそらく、100年に一度の規模だと思われます。

夜が明けてから、火災と津波の被害が次第に明らかになっていくと思いますが、尋常な規模の被害が想像に難くありません。
安否がわからない方々の無事を心よりお祈りいたします。

津波の映像を見ていると、涙があふれてきます。津波高さが7mを超えた場所もあったようで観測不能だった模様。
津波はたった50cmでも立っていられないほどの力だから、7m超というのは、血の気が引く規模です。
火災で街が火の海になっている気仙沼は仲間と学生時代に訪れた思い出の地です。
宮古市も、仙台空港も、訪れたことのある場所が大変な被害にあっていることを思うと、胸が締め付けれられる思いです。
一戸にある自分が担当した建物の状況も心配です。
そして、多くの友人たち。
ただただ、無事を祈るばかりです。

まだ余震が続いており、大津波警報も沿岸部の広い範囲で発令中で予断を許さない状況です。
くれぐれも安全と健康に気をつけていただきたいと思います。

山形の実家でも地震発生から停電が続いており、とても心配しています。
こんなとき、離れているとすぐに駆けつけることもできず、もどかしい気持ちでいっぱいです。

今回、インターネットのtwitterとUstreamが非常に役に立っています。
電話はすべて規制されていてつながりにくい状況ですが、twitterとUstreamは非常に安定していて、すごい速度で情報伝達と情報共有ができています。
まずは、自分ができることとして、停電のエリアにいる友人に向けて、Ustで放映されているNHKの内容をテキスト化してtwitterで伝えることを試みました。
停電のエリアではTVも見ることができないし、スマートフォン利用者も少ないので、情報が非常に限られます。
その中で、携帯でも読めるテキストデータで事実を伝えることができたことは、少し役立てたように思います。

避難生活が長期化すると、直近の水の確保と防寒対策が大切になります。
石油ストーブの使用には、一酸化炭素中毒に気をつけなくてはいけません。
一日も早い復旧のために、自分ができることをしっかり考えて行動したいと思います。

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