TATSURO SHIBUYA + ARCHITECTURE LANDSCAPE DESIGN STUDIO

アーキテクチュアは建築、ランドスケープは景観。風景を生かす建築環境デザインに取組んでいます。

【西根の家】雪国の建築の未来形

2015-11-24 10:23:59 | *西根の家
西根の家のオープンハウスを行いました。
このような機会を設けることができたのも、住まい手であるクライアントのご理解とご協力があったから。
この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
ご来場いただいた沢山の皆さま。誠にありがとうございました。





床や外壁など、目に見える場所や触れる場所のほとんどはクライアントの山の木で仕上げています。
山の木を使って家を建てる、そんな魅力的なプロジェクトに関わる機会を頂けたことに感謝しております。
実際に取組んでみると、本当に大変でした。

まず、山の木を切ってくださる木こりさんが地域にはおらず、近隣の町の森林組合に頼みました。
約1年の自然乾燥ののち、切った後の製材も、隣町の製材所に運びました。
最終的に、板の実加工は隣県にもっていって加工をしなければなりませんでした。

かつては、地縁社会の中で、地域の材料を使って、地域の人たちが協力して建てていた住まい。
これを現代において、実現することがこんなにも特殊で特別なことだということを、改めて感じました。

特徴的な連続する垂木(登り梁)は、積雪荷重2Mという豪雪に耐えるような骨太の建築になりました。
おのずと梁せいが大きくなるため、そのまま現しとして見せて、素材をそのまま表現するような、素朴ですっぴんのデザインを目指しました。そのための繊細なディテールは、細心の注意を払って隠しています。

主な仕上げは、鎧張り(外壁)や瓦棒葺き(屋根)など、骨太の木組みにも視覚的にバランスするような「手わざ」が見えるような仕上げにしています。
外壁の杉板には、オーガニックの木質防護保持剤(ウッドロングエコ)を塗布しています。紫外線にあてて人為的にエイジングさせることで生じる独特の美しい風合いが特徴です。
腐朽菌の侵入を防ぐと同時に、塗料とは違って塗り替えが不要な材料として、採用しています。

リビングダイニングの大開口木製サッシは、断熱気密に優れたエコスライド(アルス株式会社)を採用し、室内側に断熱ブラインド(ハンターダグラス)を併用しております。さらに、窓付近のコールドドラフト対策として、床埋込型のパネルヒーティング(ピーエスグループ)を補助暖房として採用しています。
主暖房は、ペレットストーブ(シモタニ)を採用しています。



【西根の家】山形県長井市
計画地は積雪2M を超える豪雪エリア。
豊かで厳しい自然環境のなか、自分の山の木を使って建てた明るく開放的な新しい雪国の住まいです。

設計監理:渋谷達郎+アーキテクチュアランドスケープ一級建築士事務所
構造設計:鈴木啓/ASA
設計協力:大類真光
施工:株式会社マルニ建工

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【上山の家】断熱材:超高性能グラスウールλ34

2015-11-21 09:03:14 | *上山の家/雪かきしながらトイレに行く家
現場に超高性能グラスウール(マグラムダλ34)が届きました。
うず高く積まれた断熱材の山!!
この量で、まだ全体の半分くらい。
圧縮パックに入っていて施工時には膨らむので、実際には3倍くらいのボリュームになるそうです。



上山の家では、この超高性能グラスウールですっぽりと覆います。
既に基礎には基礎断熱が施工済み。壁は付加断熱材といって、さらに断熱を2重にしていきます。


※λ(ラムダ):熱伝導率といい、熱の伝わりやすさを表します。数値が小さいほど高性能な断熱材となります。
λ34は、熱伝導率0.034w/m2・Kを実現したマグ・イゾベール社さんの超高性能グラスウールです。
http://www.isover-lambda34.jp/

雪国の住まいは、見えないところにお金がかかります。
積雪(積雪荷重)に耐える構造、暑さ寒さに耐える断熱、冬季の地面凍結(凍結深度)に耐える基礎。
とっても大切なこの3つは、いずれも竣工後は目に見えないところ。
それだけに、住まい手の理解もなかなか得にくい部分でもあります。
特に現行の断熱の基準は、いまのライフスタイルに対して、十分とはとてもいえません。

体感していただくのがいちばんわかりやすいですが、直接的には、日々の光熱費にも反映されます。
全体の予算(総工費)の約0.5~1割を断熱などの建物の基本性能をあげることに投資するだけで、日々の光熱費低減で十分に元が取れる計算になります。
個人的には、太陽光パネルをあげるのであれば、その分をこうした住まいの基本性能をあげるところにまわすことをお勧めいたします。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山形県建築士会青年大会@山形県長井市

2015-11-16 10:21:57 | 地域活動や学会活動などその他の活動
【お知らせ】いま取組んでいる活動について、お話する機会を頂きました。
山形県建築士会の皆さま、よろしくお願いいたします。

第27回山形県建築士会青年大会
大会テーマ「自然とまちの共生」
日時:11月21日(土)
会場:タス・パークホテル(長井市)
http://www.yamagata-ken.org/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【上山の家】現場ワーク 100年分の古材の汚れおとし

2015-11-15 21:28:19 | *上山の家/雪かきしながらトイレに行く家
昨日に引き続き、芸工大の学生さんや助っ人の皆さんと一緒に現場のワークをしました。
今回は、古民家の柱や梁といった木の架構の汚れおとし。

ゆうに100年以上の汚れが蓄積しています。
古材として、とってもアジがあるのですが、日常生活を送るうえで、長年蓄積した煤や埃が落ちてくるのは大問題です。
そこで、古材の表面をブラシでこすり表面の汚れを落とした後に、今度は重曹を溶いた水でひとつひとつ水拭きしていきます。
これが、予想以上に大変でした。

午前中は、本当に終わるのかと心が折れかけましたが、ワークに参加してくださったみんなのおかげで、夕方にはピカピカに!
とってもキレイになりました。

Before


After

※暗くなってから撮影しているので、わかりにくいですが、丸太の梁がほぼ、元の木の色に戻っています。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【上山の家】現場ワーク 木材保護材(ウッドロングエコ)塗装

2015-11-14 21:57:06 | *上山の家/雪かきしながらトイレに行く家
山形で取組んでいる築135年を超える古民家のリフォーム案件。
非常勤講師をしている東北芸術工科大学の学生さんたちと現場ワークを行っています。
今日は、木材の保護用に自然由来の防腐効果をもつ木材保護剤「ウッドロングエコ」を塗りました。
セルフビルドが目的ではありませんが、建築づくりに参加していただくことで、建築をより身近に感じていただくような機会になればと考えています。

山形産の杉板を丸一日かけて塗りました。


外壁につかう杉板約300枚は、壮観でした。
塗ったそばから、どんどん色が変わっていきます。

つめたい雨の中、もくもくと取組んでくださった2年生から4年生までのみなさん、作業場所をご提供いただいた柏倉材木さん、本当にありがとうございました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【西根の家】オープンハウス

2015-11-12 12:45:08 | オープンハウス(見学会)

【西根の家】オープンハウスのお知らせ


このたび、クライアントのご厚意により、下記の通りオープンハウスを開催いたします。
豊かで厳しい自然環境のなか、自分の山の木を使って建てた明るく開放的な新しい雪国の住まいです。

日時:2015年
11月22日(日)13:00~16:00
11月23日(祝)10:00~16:00
住所:山形県長井市(個人宅のため詳細はお問合せください)

設計監理:渋谷達郎+アーキテクチュアランドスケープ一級建築士事務所
施工:株式会社マルニ建工

※ご案内の都合上、予約制とさせていただきます。ご希望の方は、あらかじめ訪問希望日時をお知らせください。

お問合せ先 担当:渋谷
Mail: ttrsby@ybb.ne.jp Tel: 090-9346-6816

建設中の様子(ブログ)
http://blog.goo.ne.jp/hy…/c/847927373600ebe4e8656171ece0662c


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

干し柿づくり/初冬の原風景

2015-11-10 21:54:33 | *上山の家/雪かきしながらトイレに行く家
立冬もすぎ、燃え滾るような赤から落葉へと山の紅葉もかわりつつあります。

視界のどこかに必ず山が見えている山形では、山全体が真っ赤に染まる風景をこの目で見ることができます。
この距離感、この安心感。
当たり前のようでいて、とても豊かな日常の美しさ。山形に戻ってきて本当によかったと思えることのひとつです。

紅葉といっても、東京や愛知にいるときは、公園の木やその赤く染まった葉っぱといった目の前の部分にしか視線がむいていなかったことに改めて気づかされます。

初冬の風物詩、干し柿づくりがはじまっています。現場へ向かう道すがら、その美しさに感動しています。



すだれ状に皮をむいた柿がずらりと並ぶ風景は、上山の豊かな原風景のひとつ。
伝えていきたい景観資源。
懐かしさは美しさ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ローカル線プロレスがDVDになりました(笑)

2015-11-05 17:36:42 | ローカル線プロレス
みちのくプロレスさんからDVDが届きました。
ちゃっかりローカル線プロレスが入っています。。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【家カフェBio/遊佐の家】リプラン東北vol.50に掲載いただきました

2015-11-02 11:28:41 | Press
『家カフェBio/遊佐の家』が現在発売中の「リプラン東北vol.50」に、4ページにわたり掲載されています。ありがとうございます!


「リプラン東北vol.50」
http://www.replan.ne.jp/content/bookcart/b2tou/t50/index.php
●TOHOKU ARCHITECT
 山形県「家カフェBio/遊佐の家」 渋谷 達郎
抜群のロケーションを生かしたフルリフォーム案件。
既往の1階と2階の間取りを丸ごと反転、眺めの良い2階にリビングダイニングを設置した素敵な住まいです。


撮影は西川公朗さん。
改修前(Before)と改修後(After)の図面も掲載されておりますので、リノベーションの全容をご覧いただけます。

家カフェBio
https://www.facebook.com/iecafebio

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする