ことしで3年目となる東北工業大学建築学部の非常勤講師。
4年生前期のスタジオ課題も最終講評を迎えました。
スタジオ課題は「身動きのとれない建築」というテーマで出題しています。
地域的要因や社会的要因、法規的要因、経済的要因などにより、再建築が難しかったり、改築が難しかったりする、魅力的だけど、身動きがとれなくなっている状況の建築や地域環境を見つけて、学生らしい自由な発想で、状況を打破し、身動きがとれるようにする提案を求めています。
まず、対象を自分で探すということに、これまでの課題とは違って戸惑いを感じる学生さんが多いようですが、、
社会に出たら、自分で地域の問題を見つけなくちゃいけないのです。
というか、問題だらけだから、建築家の活躍できるフィールドは無限大といっても過言ではありません。
いかに自分の身のまわりの建築や環境、地域に意識を向けているか、そのアンテナの感度を磨くトレーニングでもあります。
ことしの学生さんは、廃校となった校舎の利活用といった、社会問題化していることを対象としたり、震災復興住宅のその後や震災遺構という難しいテーマを対象としたり、日本最古の茶園を対象としたりとバリエーション豊かな内容でした。
ある程度のリアリティをもった提案を求めてはいますが、学生課題ということもあって、多少の飛躍は許容しています。
このスタジオ課題は私も含めた何人かの建築家が非常勤講師としてそれぞれスタジオ課題を出題していて、最終講評では他のスタジオの優秀作品も一斉に講評します。
個人的に素晴らしいと感じたのは、ほぼ空家となった印刷工場を対象として子どものためのミュージアムとして再生させるという提案。
単に建築単体のリノベーションに留まらず、エリア全体に波及するような提案(エリアリノベーション)にワクワクしました。