こちらに来て、ずっと見たいと思っていた建物を見学する機会をいただいた。
川合健二邸(ドラム缶の家) 1966年
北海道の
上遠野邸が1967年竣工だから、ほぼ同時期に建ったセルフビルド建築。
川合健二氏は、香川県庁舎など、丹下健三建築の多くを手掛けた設備設計のエンジニアだ。
ドラム缶の家は、その思想において、最小限のコスト、最小限の材料で最大限の居住環境を作るというバックミンスター・フラーのダイマキシオンハウス(1929年)と重なる部分も多いように感じた。
川合氏がフラーのことをどこまで知っていたか、今となっては知る術はないが、フラーの出世作となった
ジオデシック・ドーム@モントリオール博アメリカ館が1967年竣工なので、当時フラーは日本ではあまり知られてはいなかったのではないか。。
川合邸では、自家発電装置や実際には施工されなかったが床暖房システムまで考えられていたようである。
このことからしても、この住宅の先端性をうかがい知ることができる。
このドラム缶の家は石山修武氏に多大な影響を与えたことは知っていたが、この住宅を知って、セルフビルドで家を建てた方々が他にも少なからずいたことを初めて知った。
一つの建築が、住民だけでなく、様々な人に影響を与えること、そして、この建物が、現在も素敵に住み続けられていることに、建物に関わる人間として元気をもらうことができました。