お隣のヴェル・ヴァーグ・ヴィアンフェのシェフ自身の昼ごはん、サンドイッチだそうで、お裾分けしてもらった。
「美味しい!」
舌の肥えたシェフがよもやカップヌードルの昼食はあるまいと、かねてよりフレンチ・レストランの賄い料理に興味があった。厨房にある、その瞬間の食材を上手に自分のためにこしらえる。驚くのは、チープと思える素材でも、盛り付け、味付け、器の選択など全てにおいて手を抜いてない。しかし、本人は、
「時間がないのでやっつけでした。
自分が食すのだからそんなものです」
シェフのPCの不具合を直してあげた時、大仰に驚いてくれたが、ぼくにはこの賄い料理の方が仰天だ。一家に一人はこんな人が居てくれると便利だろうな。シェフの奥さんってどう思うものなのだろう…。
昼下がりのジャズ、コーヒー、サンドイッチ…、気分はゆったりと贅沢だ。カーティス・フラーのブルースエットから、「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」を聴く。ホーンの重厚なふくらみ、柔らかい響きが溶け合って教室を満たす。トロンボーンってええやん。