「イタリア人に生まれてよかったぁ」
とは、ぼくの常套ジョークの一つだが、最近、風貌もそれらしくなってきたように思う。
「どこが~っ?」
と突っ込むあなたの声が聞こえそうだ。今度、まじまじと見つめて欲しい、至近距離で。その時起こるかもしれない不測の事態は自己責任で乗り切ろう、蚊に刺されたと思って。
火曜夜の淑女さんたちは、お隣のヴェル・ヴァーグ・ヴィアンフェさんのパスタ、絶妙のアルデンテだと仰る。
アルデンテとは、イタリア語で「歯ごたえのある」という意味で、
ゆで上げたパスタの真ん中に少し芯が残る状態のことを言う。
アルデンテにゆでると、適度な歯ごたえでもっともおいしく感じられる。
パスタは当然ゆで加減がモノをいう(スパゲティは喋らない、たとえ話である)。アルデンテであれば、噛むと小麦の風味が広がり、時間が経っても麺のコシが失われない。スンナリこういう話ができるのは、やはり前世、イタリア人だったかも知れない。
夕飯に、ラザニア風ファルファーレのグラタン作りました。
召し上がりますか??(*^_^*)
と、メールが入った。シェフのまかないシリーズである。直ちに、諾の旨、返信した。このあたり、ぼくのフットワークは軽い。
高らかに鳴るブラスが聞こえそうだが(それはファンファーレ)、ファルファーレとは、色とりどりの可愛い蝶の形のパスタのこと、くびれが無くスクエアだから、ラザニア風なのだ。詳細及びレシピについては、シェフのブログをお勧めする。ミートソースがしっかり絡み、濃い味わい。でも、くどくなくて、でも、強いから余韻が長い。しっかり火をくぐったグラタンだから熱々なのに、ラザニア風ファルファーレはやはりアルデンテ(この表現が正しいか…)。ホクホクと噛みごたえがあり、柔らかくパスタ本来の滋味が広がる。 教室を満たす香りがジャズの音色に混ざる。異界と化した空間、心地よい。