鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

高齢者糖尿病を考える会

2018-05-12 11:02:54 | 日記
表記の講演会を拝聴してきた。
高齢者の糖尿病は、フレイル、認知症、骨折などとの相関も高く、低血糖も含めその管理には十分な注意が必要であるとの内容でした。

以下、講義メモ

高齢者糖尿病のフレイル
血糖コントロール目標をどう考えるか
 鈴木 亮 先生
 東京大学大学院医学系研究科

1、高齢者糖尿病とフレイル

  高齢者糖尿病とは、実質的には75歳以上+機能低下がある一部の前期高齢者
  糖尿病は増えているが、予備軍は減っている
  男性60歳以上が増えている、一方で50歳以下は減少傾向
  女性は、高齢者においても減少傾向
  日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会
   健康、 HbA1c <7.5%
   中等度 <8.0%
 iADL 手段的ADL 買い物、電話、食事の準備、家事、洗濯、薬の管理、金銭管理
  糖尿病は、BADL、IADLが落ちる
  糖尿病では、加齢による筋肉の量が落ちやすい、筋力の低下が進みやすい
   サルコペニア 加齢による筋量、筋力の減少
  糖尿病の高齢者は骨折しやすい
   骨質の脆弱化、身体バランスの低下、
  フレイル:健康障害に陥りやすい状態
   体重減少、疲労感、活動量の減少、身体能力の減弱、筋力の低下 3項目でフレイルの診断
  フレイル > 身体的フレイル(自律神経ドメイン) > サルコペニア(筋骨格系ドメイン)
  糖尿病は認知症の発症リスクを上昇させる
  高齢者の糖尿病は、空腹時血糖が必ずしも高くはない
  高齢者の糖尿病、低血糖を起こしやすい
  低血糖、認知症のリスクを倍増
  認知症があると重症低血糖が倍増 とくにインスリン、SU剤使用時
  
2、高齢者糖尿病の評価と血糖コントロール目標

  どのカテゴリーか
   カテゴリーⅠ:認知機能正常 かつ ADL自立  
   カテゴリーⅡ:軽度認知障害~軽度認知症、または IADL低下、BADL自立  
   カテゴリーⅢ:中等度以上の認知症、または、BADL低下 または 多くの併存疾患や機能障害

   認知機能スクリーニング
   治せる認知症を見逃さない

  インスリン、SU薬を使っていないか

  食事療法は、高齢者の高血糖と脂質の改善に有効
  ライフスタイル介入は肥満の改善に有効、歳をとっても体重を落とせる

3、フレイル管理の課題

  高齢者糖尿病の体重減少は、低栄養のサインかも
  高齢者の食事、たんぱく質が不足しやすい、脂質の多い食事は、死亡リスクが3倍
  タンパク質摂取と筋肉量は、密接に関係する

  どんな運動をするか
   筋トレ(レジスタンス運動)
   有酸素運動
   併用が良い



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