今回のスキルアップ研修会は、静岡県立静岡がんセンターのがん看護専門看護師、久山氏をお招きして、緩和ケアにおける患者・家族への意思決定支援についての講演を拝聴しました。
とかく情緒的に流れやすい緩和ケアにおける患者・家族支援について、多くの論文を引用して科学的、論理的に解説して頂きました。
医療従事者として患者・家族に寄り添い意思決定のプロセスを支援するためには・・、サイエンス(普遍性、知識、エビデンス)と アート(個別性、まごころ、ナラティブ)のバランス感覚が重要との指摘は、成程と思いました。
緩和ケアスキルアップ研修会
日時:平成28年10月19日 18:30~20:00
場所:荘内病院講堂
〇オープニングアクション
庄内プロジェクトがん患者・家族サロン「ほっと広場」の有用性
荘内病院 阿部美知子
152名(85%)からアンケート調査
参加者:5名ー15名 平均;11名
女性87%
患者自身が85%
隔月 第2土曜日
お楽しみコーナー(レクレーション、コンサートなど) + 茶話会
サポートセンターが企画・運営
参加者:徐々に減少傾向 12.3人(2013年)→8.8人(2015年)
アンケートからは、100%肯定的意見
リピーターが多い、新しい参加者が少ない
2015年8月から18:00開催したが、スタッフの参加が増えたものの参加者は増加しなかった、
多くの広報活動を行っている
〇講演
緩和ケアにおける患者・家族への意思決定
静岡県立静岡がんセンター 患者家族支援センター 看護師長 がん看護専門看護師 久山幸恵氏
・患者・家族への意思決定支援が求められる理由
がん患者の高齢化、独居の増加、
日本人にとって「望ましい死」とは
苦痛がない、医療者を信頼できる、家族と良い関係でいる・・
一方で、個人差がある(価値観の多様性)
疾病により死に至る軌道は変わる
希望に満ちているが非現実的な人より、希望に満ちていて現実的な方がより良い終末を迎えられるという論文がある
・患者・家族への意思決定支援の必要性
早期からの緩和ケアの効果
生存期間の延長が期待できる
患者の希望する治療について話し合う意義
希望する緩和治療を受けたひとの59%は、自分の終末期を認識し、希望する治療を医師と話していた
終末期について話し合うことの影響
延命治療が少なくなる
ホスピス緩和ケアの利用日数が増える
患者のうつ発症率には関与しない
→ 患者・家族のQOLの向上へつながる
・患者・家族への意思決定支援の難しさ
意思決定に存在するバイアス
高度の障害のある人は、自身のQOLを高いと評価する傾向にある
いまの関心事のみを基準として物事を考えてしまう
数値による客観的情報より、知ってる人や自分の経験が大きく決定を左右する
感情がホットな状態にあるときは、起こりうる不利益を過小評価しがち
人の意思決定は、「利益」より「損失」に敏感である
・意思決定支援の難しさの背景
-価値観の多様性、
-日本文化の影響
-患者の心理面の影響
-他者からの影響
-職種間の認識の違い
-意思決定には患者の心理状態が影響 早く問題を解決してくれるであろう選択肢を選ぶ
-防衛機能:否認の感情: 悪い知らせを無意識に拒否する
-人の意見が意思決定に影響する: 身近に効果がある人がいると選択する、
数値による決定より知っている人の体験談(含、マスコミ)が大きく意思決定を左右する
-職種間の認識の違い
医師:化学療法継続でQOLを目指す 傾向
看護師:化学療法に懐疑的で余命の活性化を支持する傾向
-治る期待と医師とのコミュニケーション
治ると言われれた方が、医師への満足度が高い
-抗がん治療を継続するための示唆
今後起こり得ることを説明する
緩和ケアで苦痛がとれることを保証する
・その人らしく生きるきることを支えるために
-ガイドラインの有効活用
・アドバンス・ケア・プラニング
将来の意思決定能力の低下に備えて、今後の治療・療養について患者・家族とあらかじめ話し合うプロセス
患者・家族の意向
継続的コミュニケーションの重要性
有効なACPにするために
生命維持治療の差し控えだけでなく、全体的な目標を焦点に
代理意思決定者とともに、患者の過去の人生、大切にしていること、もしものときの対応などを話し合う
書面に残し、医療従事者に伝える
医療従事者は診療記録に残す
・事例:40歳、女性、卵巣癌
腸腰筋、腰仙骨神経叢への浸潤あり、痛みが強く左下肢を伸ばせない
病状の理解・教育
症状マネジメント
痛み →神経ブロック
倦怠感、睡眠障害
→多職種での話し合い、鎮静の開始、心地よく過ごせることを叶える
・意思決定、その人を支える
患者の尊厳を守り、
患者の権利を守る
患者の価値観を守る
患者を人として尊敬する
倫理的問題を医療スタッフ間で共有する
患者にって何が最善なのか、患者・家族・多職種チームでの話し合い、合意を得た上でケアを進める
・医療従事者として患者・家族に寄り添い意思決定のプロセスを支援するためには・・
サイエンス(普遍性、知識、エビデンス)と アート(個別性、まごころ、ナラティブ)のバランス感覚を失わないように!
・最後に
多職種チーム医療による意思決定のプロセスが大事!
とかく情緒的に流れやすい緩和ケアにおける患者・家族支援について、多くの論文を引用して科学的、論理的に解説して頂きました。
医療従事者として患者・家族に寄り添い意思決定のプロセスを支援するためには・・、サイエンス(普遍性、知識、エビデンス)と アート(個別性、まごころ、ナラティブ)のバランス感覚が重要との指摘は、成程と思いました。
緩和ケアスキルアップ研修会
日時:平成28年10月19日 18:30~20:00
場所:荘内病院講堂
〇オープニングアクション
庄内プロジェクトがん患者・家族サロン「ほっと広場」の有用性
荘内病院 阿部美知子
152名(85%)からアンケート調査
参加者:5名ー15名 平均;11名
女性87%
患者自身が85%
隔月 第2土曜日
お楽しみコーナー(レクレーション、コンサートなど) + 茶話会
サポートセンターが企画・運営
参加者:徐々に減少傾向 12.3人(2013年)→8.8人(2015年)
アンケートからは、100%肯定的意見
リピーターが多い、新しい参加者が少ない
2015年8月から18:00開催したが、スタッフの参加が増えたものの参加者は増加しなかった、
多くの広報活動を行っている
〇講演
緩和ケアにおける患者・家族への意思決定
静岡県立静岡がんセンター 患者家族支援センター 看護師長 がん看護専門看護師 久山幸恵氏
・患者・家族への意思決定支援が求められる理由
がん患者の高齢化、独居の増加、
日本人にとって「望ましい死」とは
苦痛がない、医療者を信頼できる、家族と良い関係でいる・・
一方で、個人差がある(価値観の多様性)
疾病により死に至る軌道は変わる
希望に満ちているが非現実的な人より、希望に満ちていて現実的な方がより良い終末を迎えられるという論文がある
・患者・家族への意思決定支援の必要性
早期からの緩和ケアの効果
生存期間の延長が期待できる
患者の希望する治療について話し合う意義
希望する緩和治療を受けたひとの59%は、自分の終末期を認識し、希望する治療を医師と話していた
終末期について話し合うことの影響
延命治療が少なくなる
ホスピス緩和ケアの利用日数が増える
患者のうつ発症率には関与しない
→ 患者・家族のQOLの向上へつながる
・患者・家族への意思決定支援の難しさ
意思決定に存在するバイアス
高度の障害のある人は、自身のQOLを高いと評価する傾向にある
いまの関心事のみを基準として物事を考えてしまう
数値による客観的情報より、知ってる人や自分の経験が大きく決定を左右する
感情がホットな状態にあるときは、起こりうる不利益を過小評価しがち
人の意思決定は、「利益」より「損失」に敏感である
・意思決定支援の難しさの背景
-価値観の多様性、
-日本文化の影響
-患者の心理面の影響
-他者からの影響
-職種間の認識の違い
-意思決定には患者の心理状態が影響 早く問題を解決してくれるであろう選択肢を選ぶ
-防衛機能:否認の感情: 悪い知らせを無意識に拒否する
-人の意見が意思決定に影響する: 身近に効果がある人がいると選択する、
数値による決定より知っている人の体験談(含、マスコミ)が大きく意思決定を左右する
-職種間の認識の違い
医師:化学療法継続でQOLを目指す 傾向
看護師:化学療法に懐疑的で余命の活性化を支持する傾向
-治る期待と医師とのコミュニケーション
治ると言われれた方が、医師への満足度が高い
-抗がん治療を継続するための示唆
今後起こり得ることを説明する
緩和ケアで苦痛がとれることを保証する
・その人らしく生きるきることを支えるために
-ガイドラインの有効活用
・アドバンス・ケア・プラニング
将来の意思決定能力の低下に備えて、今後の治療・療養について患者・家族とあらかじめ話し合うプロセス
患者・家族の意向
継続的コミュニケーションの重要性
有効なACPにするために
生命維持治療の差し控えだけでなく、全体的な目標を焦点に
代理意思決定者とともに、患者の過去の人生、大切にしていること、もしものときの対応などを話し合う
書面に残し、医療従事者に伝える
医療従事者は診療記録に残す
・事例:40歳、女性、卵巣癌
腸腰筋、腰仙骨神経叢への浸潤あり、痛みが強く左下肢を伸ばせない
病状の理解・教育
症状マネジメント
痛み →神経ブロック
倦怠感、睡眠障害
→多職種での話し合い、鎮静の開始、心地よく過ごせることを叶える
・意思決定、その人を支える
患者の尊厳を守り、
患者の権利を守る
患者の価値観を守る
患者を人として尊敬する
倫理的問題を医療スタッフ間で共有する
患者にって何が最善なのか、患者・家族・多職種チームでの話し合い、合意を得た上でケアを進める
・医療従事者として患者・家族に寄り添い意思決定のプロセスを支援するためには・・
サイエンス(普遍性、知識、エビデンス)と アート(個別性、まごころ、ナラティブ)のバランス感覚を失わないように!
・最後に
多職種チーム医療による意思決定のプロセスが大事!