




某製薬会社主催の認知症関連の研修会に出席してきました。
小生、名ばかりですが、一応認知症サポート医ですので、認知症の講演は何度も聴いていますが、
今回の講演は、腑に落ちるところが多い内容でした。
とくに、
80歳以上の記憶障害主体のアルツハイマー病は、
病気と考えるのではなく加齢現象と考え、医療が介入する必要はない
むしろ、行政、介護系職種、ボランティアなどによる地域全体での支援が重要
認知症診療におけるかかりつけ医の役割は、
治療の必要性の高い人をみつけ、専門医へ紹介すること
例:運動障害を有する患者、正常圧水頭症、レビー小体型認知症、若年性、多様な背景疾患、
コリンエステラーゼ阻害剤は、
進行を抑える作用はあまりなく、軽度~中等度で少しだけ有効、
全員に投与すべきではない
Dementia Conference in Tsuruoka
日時:2017年11月2日
場所:こころの医療センター
認知症の診断と介入
東北大学病院高次脳機能障害科 西尾 慶之
日本の認知症の現状
認知症の社会経済負担
日本における認知症の社会的費用 14.5兆
医療以外に大きな負担がある。
診ないわけにはいかないが、何をしたら良いのだろう
専門医との連携
地域の事情によりいろいろなかたちがある。
そもそも 認知症とは何なのか?
認知症という病気はない(疾患の多様性)
症状でもない (症状の多様性)
多くの疾患を含んだ概念である
様々な認知ドメインの集合体が「認知」
「非認知」症状
Neurocognitive disorders (NCSs) 神経認知障害
認知症、複雑な実態がある。
診断の流れ
症状レベル(認知症状、精神、運動)、部位レベル、病理レベル
症状と部位の組み合わせで診断する
認知症障害と精神/行動症状(BPSD)
認知障害 欠損症状 ・・ができない
精神/行動症状 人格の変化
認知障害の評価
記憶障害、書字計算障害、失語、・・・ 多彩
MMSE 点数だけでなくパターンもみる
長谷川式
精神/行動症状の評価
認知症各論
アルツハイマー病
認知症全体の60%
アミロイド蛋白、タウ蛋白の沈着 普通の高齢者でも80%はプラス
機能障害が強い
複雑な作業能力の低下
ものとられ妄想
3単語再生が低い、書字・計算・描画障害
80歳超の高齢者のアルツハイマーは、あまり心配しなくてよい(記憶障害が主)
問題は、若年型
レビー小体型の認知症
重要な疾患
高い死亡リスク 心血管系の合併症
早期の入所
高い医療関連費用
認知症の15-20%、多くが専門医療機関を受診している
診断基準
疑うことが大事
中核的臨床症状:変動、幻視、パーキンソンニズム、レム睡眠行動障害
画像検査
幻視テスト
妄想性誤認
変動:常に分からないわけではなく、分かるときと分からないときがある
レム睡眠行動障害:寝言(叫ぶ、歌う、笑う)、手足の異常な動き、悪夢
前頭側頭型認知症 (前頭葉が障害された症状、外傷でも生じる)
常同行動:(例)毎日同じ味噌汁をつくる
脱抑制:上半身裸、抑制がとれた行動
特発性正常圧水頭症
ごろごろしている認知症
3つの主症状:歩行障害、認知症臥位、頻尿・尿失禁
特徴的画像所見
iNPH:
認知症の介入
根治療法
疾患修飾療法
対症療法 →認知症の治療の中心
コリンエステラーゼ阻害剤
進行を抑える作用はあまりない
軽度~中等度で少しだけ有効、
全員に投与すべきではない
メマンチン
有効な症例は限られる、軽症には無効
非定型抗精神病薬
薬剤性せん妄 薬剤性認知障害
認知症診療におけるトリアージ
かかりつけ医:治療が必要性の高い人をみつける
運動障害を有する患者、正常圧水頭症、レビー小体型認知症、
若年性の患者、多様な背景疾患、
専門医:鑑別疾患、BPSD
ものとられ妄想
孤独な人が多い
記憶の障害が背景にあるが、記憶障害の重症度とは相関しない
環境調整が重要
介入が必要ない患者
80歳以降に発症のアルツハイマー
記憶障害のみ、BPSDなし
同居者が多い
80歳以上のアルツハイマーは、病気と考えるのではなく、加齢現象と考える
質疑
問題行動が多い患者の多くはレビー
レビーのスクリニーングテストはあるのか?
レビー、うつ病と診断されている人が多い
レビーは、うつとして発症することが多い
レビーは、身体的訴えも併発していることが多い
認知症は、欧米では、減少傾向
唯一、日本だけが増えている
高齢者の認知症が増えるとは思えない。
過剰診断ではないか?