鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

Dementia Conference in Tsuruoka

2017-11-02 10:50:44 | 日記


某製薬会社主催の認知症関連の研修会に出席してきました。

小生、名ばかりですが、一応認知症サポート医ですので、認知症の講演は何度も聴いていますが、
今回の講演は、腑に落ちるところが多い内容でした。

とくに、

 80歳以上の記憶障害主体のアルツハイマー病は、
  病気と考えるのではなく加齢現象と考え、医療が介入する必要はない
  むしろ、行政、介護系職種、ボランティアなどによる地域全体での支援が重要

 認知症診療におけるかかりつけ医の役割は、
  治療の必要性の高い人をみつけ、専門医へ紹介すること 
  例:運動障害を有する患者、正常圧水頭症、レビー小体型認知症、若年性、多様な背景疾患、

 コリンエステラーゼ阻害剤は、
  進行を抑える作用はあまりなく、軽度~中等度で少しだけ有効、
  全員に投与すべきではない


Dementia Conference in Tsuruoka

日時:2017年11月2日
場所:こころの医療センター

認知症の診断と介入
東北大学病院高次脳機能障害科 西尾 慶之

日本の認知症の現状

認知症の社会経済負担
 日本における認知症の社会的費用 14.5兆
 医療以外に大きな負担がある。

診ないわけにはいかないが、何をしたら良いのだろう

専門医との連携

地域の事情によりいろいろなかたちがある。

そもそも 認知症とは何なのか?

 認知症という病気はない(疾患の多様性)
 症状でもない (症状の多様性)
 多くの疾患を含んだ概念である

様々な認知ドメインの集合体が「認知」
「非認知」症状

Neurocognitive disorders (NCSs) 神経認知障害

認知症、複雑な実態がある。

診断の流れ
 症状レベル(認知症状、精神、運動)、部位レベル、病理レベル
 症状と部位の組み合わせで診断する 

認知症障害と精神/行動症状(BPSD)
 認知障害 欠損症状 ・・ができない
 精神/行動症状 人格の変化

認知障害の評価
 記憶障害、書字計算障害、失語、・・・ 多彩

MMSE 点数だけでなくパターンもみる
長谷川式

精神/行動症状の評価
 
認知症各論
 アルツハイマー病
  認知症全体の60%
  アミロイド蛋白、タウ蛋白の沈着 普通の高齢者でも80%はプラス
  機能障害が強い
  複雑な作業能力の低下
  ものとられ妄想
  3単語再生が低い、書字・計算・描画障害
  80歳超の高齢者のアルツハイマーは、あまり心配しなくてよい(記憶障害が主)
  問題は、若年型
  
 レビー小体型の認知症
  重要な疾患
  高い死亡リスク 心血管系の合併症
  早期の入所
  高い医療関連費用
  認知症の15-20%、多くが専門医療機関を受診している
  診断基準
   疑うことが大事
   中核的臨床症状:変動、幻視、パーキンソンニズム、レム睡眠行動障害
   画像検査
   幻視テスト
   妄想性誤認
   変動:常に分からないわけではなく、分かるときと分からないときがある
   レム睡眠行動障害:寝言(叫ぶ、歌う、笑う)、手足の異常な動き、悪夢

 前頭側頭型認知症 (前頭葉が障害された症状、外傷でも生じる)
  常同行動:(例)毎日同じ味噌汁をつくる
  脱抑制:上半身裸、抑制がとれた行動     

 特発性正常圧水頭症
  ごろごろしている認知症
  3つの主症状:歩行障害、認知症臥位、頻尿・尿失禁
  特徴的画像所見
  iNPH:

認知症の介入
 根治療法
 疾患修飾療法
 対症療法  →認知症の治療の中心

コリンエステラーゼ阻害剤
 進行を抑える作用はあまりない
 軽度~中等度で少しだけ有効、
 全員に投与すべきではない

メマンチン
 有効な症例は限られる、軽症には無効
  
非定型抗精神病薬  

薬剤性せん妄 薬剤性認知障害

認知症診療におけるトリアージ
 かかりつけ医:治療が必要性の高い人をみつける 
   運動障害を有する患者、正常圧水頭症、レビー小体型認知症、
   若年性の患者、多様な背景疾患、
 専門医:鑑別疾患、BPSD

ものとられ妄想
 孤独な人が多い
 記憶の障害が背景にあるが、記憶障害の重症度とは相関しない
 環境調整が重要
 
介入が必要ない患者
 80歳以降に発症のアルツハイマー
 記憶障害のみ、BPSDなし
 同居者が多い
 80歳以上のアルツハイマーは、病気と考えるのではなく、加齢現象と考える

質疑

問題行動が多い患者の多くはレビー
レビーのスクリニーングテストはあるのか?
レビー、うつ病と診断されている人が多い
 レビーは、うつとして発症することが多い
 レビーは、身体的訴えも併発していることが多い

認知症は、欧米では、減少傾向
唯一、日本だけが増えている
高齢者の認知症が増えるとは思えない。
過剰診断ではないか? 
  
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