鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.242 (地域連携パス推進協議会 全体会 第6回)

2013-12-11 12:04:07 | 日記


昨日、12月10日、本年度6回目の地域連携パス推進協議会 全体会を行いました。今回は、前月に引き続き、先日盛岡で行われたクリニカルパス学会での報告内容を各演者から講演して頂きました。それぞれ、高いレベルの内容で、ミニ学会という感じでした。当地区の地域連携パス協議会がこれだけの数の演題を報告できる会に成長したことを心から誇らしく思います。

1、運営委員会報告

 医師会長だよりで報告済み

2、クリニカルパス学会報告 part.2

1)庄内南部地域大腿骨近位部骨折術後の連携パスの転帰評価第2報
協立リハ 佐藤 智さん

パス登録患者467例の受傷前後の生活機能、認知機能の推移を分析
MMSE得点推移で2点以上の向上を術後認知機能障害の改善と仮説し、
術後2週と4週での予測モデルとして検証
目的変数:回復期退院時BI
説明変数:
MMSE、退院先、受傷前BI、術後2,4週のBI、管理病院での日常性格機能評価、年齢、問題行動として重回帰分析を実施

結論
予後因子として認知機能の推移が大きく影響しており、術後早期からの認知機能評価の重要性が示唆された。
回復期退院後も認知機能改善する可能性があり、訪問リハなどのケアサービスが必要と考える。

2)当院における脳卒中患者の自動車運転再開マニュアルの現状と課題
湯田川温泉リハ病院 大川さんほか3名

湯田川温泉リハビリテーション病院では、自動車運転マニュアルを作成し、それに沿って、運転の可否を判断している。
平成23年10月から平成25年3月間の脳パス患者210名をデータ分析した
運転希望者は 29名(男:35、女:4)
 希望者の平均年齢は 男:65.5歳、女:53.3歳
希望者29名のうち、7名(24%)が、運転可能と判断された。
7名のうち、教習所利用で運転が可能となっったのが5人(71%)
運転可と判断されなかった22人のうち、教習所利用で運転が可能となったのは2人(9%)
運動可群と運転不可群との比較では
 入院時FIM(運動、認知)ともに有意差があった。
 一方、退院時FIMでは、認知項目のみに有意差があった。
退院時高次脳機能障害での比較では
 運転不可群に、遂行機能障害、半側空間無視がみられた。
まとめ
運転の可否をより的確に判断できるよう、より詳細なデータ分析を行い、クリニカルパス化を図っていきた。

3)再発患者データベース脳卒中地域連携電子化パス導入の効果
荘内病院 丸谷先生

2010年1月から2年間に登録された脳卒中患者のうち
維持期へ移行した患者データを解析した。

対象期間の登録患者:1041名
維持期移行例:742名
維持期パス参加患者:403名
維持期パス非参加患者:306名
平均観察期間:28.6か月

1、臨床的背景
 維持期パス参加群:女性の割合:47%、年齢:76.9、退院時mRS:2.87
 維持期パス非参加群:女性の割合:50%、年齢:74.6、退院時mRS:2.61

2、維持期血圧管理
 74%が目標となる血圧以下にコントロールされていた。

3、再発率・再発期間
 再発率:パス参加群:7.58%、パス非参加群:11.7% パス参加群で低い
 再発期間:パス参加群:15.88月、パス非参加群:9.72月、パス参加群で有意に長い

4、危険因子の分析
危険因子の中で保有率が高いのは、高血圧、脳卒中既往、糖尿病などであるが、心房細動が有意に高い結果であった。

4)脳卒中地域連携パスのデータマイニングと集計表
鶴岡地区医師会 遠藤さん

庄内南部地域連携パス推進協議会では、地域連携パスをIT化しリアルタイムにデータベース化する仕組みを構築している。
地域連携パスには、病病・病診ともに相当数のデータが蓄積され、それらデータを解析するチームとしてデータマインニング委員会を設立した。
データマインニング委員会は、急性期、回復期、維持期、ITベンダー、事務局など多職種、10名ほどのメンバーで構成される
脳卒中地域連携パスでは、年報というかたちで集計表を作成、地域にフィードバックするとともに、各所に配布している

5)精神科疾患の服薬自己管理パスを改定して
鶴岡病院 三原さん

4月、パス委員会、設立

精神科患者を退院させるには、服薬を自己管理できることが必要である

服薬自己管理パスは従来よりあったが、7日間と限定されていたためほとんど利用されていなかった。また、医療者が患者と共に同じゴールを目指すというパスの概念が伝わりにくかった。そこで、期間を限定せず、アウトカム達成まで繰り返し継続するパスに変更した。また、薬剤師からの服薬指導が必ずは入るよう、服薬指導項目を追加した。さらに、患者用パスを作成し、開始時に説明のうえ配布し、指導中も使用した。

結果
使用数が0から8件へ増加した。
使用した患者の病名は統合失調症、発達障害、認知症であった。
使用期間は23日から8か月、一番多かったのは2か月であった。

アンケート調査では、医療者の86%が、患者の94%が肯定の回答であった。

6)精神科疾患はパスにそぐわないのか?
鶴岡病院 三原

パネルディスカッション「クリニカルパスの次なる飛躍の可能性」での報告。
どうして精神科ではパスが普及しないのか、
主観情報が主体だからか?
ひとりひとり、症状、経過、背景、知的レベルなどが違うからか?
どうすれば、精神科にパスが普及するのか、

パスを羅針盤として、多職種チーム会議で個別的なケアプランをたてながら、対象者とともにゴールを目指すやりかた(パスとケアマネジメントの複合的手法)は、どうか?

精神科領域でのパス普及を目指して
・パス概念の周知
・主観情報を形式知へ
・パスで可視化し多職種連携推進
・地域連携の促進(退院支援パス、地域連携パス、依存症フォローパス)
・職員のやる気アップへの一助
・活気ある精神科病院へ ホスピタリティー



3、その他、

1月は、休会
2月、第3火曜日(18日)
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