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沈まぬ太陽

2009年11月06日 | 映画
風呂のボイラーが故障し、物入りな秋。
山崎豊子原作の組織の暗部と葛藤を描く『沈まぬ太陽』を映画化した10分の休憩がある長編。「事実を取材して小説的に再構築した」フィクションということになっている

小説を読んでなく予備知識もないため、観ていて内部告発の映画かと思った。
一企業が倒産したとなれば、描かれたことは一企業内の義憤に過ぎぬ可愛い話と看做せる。しかし、公共性の高い企業なのでより社会性を帯びる。
いま、J□Lの再建が取沙汰されているこの時期に公開された皮肉なタイミングを考える。国が再建しても、親方日の丸の企業体質は生半にぬぐい去ることはできぬし、再び映画に描かれたような醜い事態を繰り返すように思えてしまう。

「ジャンボ機」に限定した切口を拾うと、
映画で事故を起こしたジャンボ機が、現在では重荷になっているという。
大量輸送の時代に荒稼ぎしたが、いまは小回りの効く搭乗率を高める効率が求められているため倉庫に眠っていて、その保管と保守のための経費が大きく重荷になっている。
しかも、そのジャンボ機の1機当りの評価が約60億円なのに5億円の価値しかなく、55億円の評価損をこうむっている。
このことも、皮肉な話だ。

追、
石坂浩二は貫禄で神山繁は懐かしい顔だったが、加藤剛と宇津井健の枯れた風貌に驚いた。
主人公・渡辺謙の妻役の鈴木京香が好い味を出していた。


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コメント (16)    この記事についてブログを書く
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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ジャンボジェット (おくだっち)
2009-11-06 10:34:41
ジャンボジェットを今後使う意思があるのでしょうか。

毎年、法定定期検査した上稼働確認が必須でしょうからその経費はとてつもなく、また現役で維持するから評価額損が出るのでしょうね。

有姿除却という手もあると思うのですが・・
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張と (ちょぼ)
2009-11-06 11:29:14
ジャンボ機をチャントしないと、チョンボになるね。


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Unknown (銭無のとっつあん)
2009-11-06 16:59:18
親方日の丸的なものの考え方では、企業は成り立たないでしょう。
そのものの考え方は、改まることはないでしょう。
結局、人のことなんか考えたことはなく、自分のことだけ…。
そんなところに税金をつぎ込むのは…、間違いなく無駄遣いになるでしょう。

私も、安全性を考えて、ANAしか使わないようにしていました。
そんな考えにさせる企業体質だと思っています。 
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TBありがとうございます (親子連れ遍路)
2009-11-06 18:14:32
また追々記事を読ませていただきます。
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コメント 嬉しiina~ (iina)
2009-11-07 08:50:21

(おくだっち) さん へ
怒りのアフガンに向かうランボーには通じない催眠術であって欲しいです。

時代は変わって、ジャンボ機を使いたくてもできぬようです。
かといって、処分するには高価すぎて持て余しているようです。
それでも、処分しないといけませんね。


(ちょぼ)さん へ
「張と」は、「チャンと」と読むのですね。
帳簿上では表に出ていない、ジャンボ機の扱いが難しいようです。



(銭無のとっつあん)へ
立派な富有柿ですね。しかも、今日は
立冬でしたか。「立」の熟語でも、派と冬で随分と意味合いが違って
立場がありません。

親方日の丸といえば、国鉄もそうでした。
組織は腐るもののようです。
会社の寿命30年説もあながち的外れではなさそうです。



(親子連れ遍路)さん へ
「沈まぬ太陽」の原作を読んでみたくなりました。 

一方、「坂の上の雲」もNHKで放映が決まりました。こちらは作者の
司馬遼太郎が映画化を最後まで許さなかった長編でした。
読む前は、日露戦争で日本が勝ったのは運がよかったと思っていましたが、
小説を読むと勝つべくして勝利した気分になります。
そんな勘違いをされないよう気を揉んでいたのでしょうか。 
http://blog.goo.ne.jp/hamadaya3825/e/3b8b099d94f0dd5ec9989e6efebab00d
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TBに 返礼 (iina)
2009-11-08 10:16:11
(パラパラ映画手帖)さん へ
組合出身者を重宝する会社もあれば、毛嫌いして複数の組合を作って分離させたがる
経営者もいるようです。
組合の要求を不快として、儲けているにも関わらず会社清算して、新たに会社設立した
会社も知っています。
映画では、会社側が行う理不尽な工作に嫌気がさします。


(手仕舞い支局長 気まぐれだす) さん へ
映画や小説から、感動を受けたり逆に不謹慎に思ったりして人様ざまのようです。
この映画は、小説も読んでいた方がよさそうに思えます。
そのうち読んでみたいと思っています。


(Thanksgiving Day)さん へ
この映画には、評判の割りに冷めて観れました。
なので、そのギャップを埋めるべく本を読んでみる必要を感じました。

山崎豊子の本は、まだ1冊も読んでなく、こんどトライしてみたいと思います。
「不毛地帯」、「白い巨塔」、「華麗なる一族」、そして「沈まぬ太陽」とより取り見取りですね。


(A.himeのフォト日記) さん へ
アフリカに赴任して動物を相手に銃を持っていたのに、次の赴任では
カメラを持っていたというのは象徴的なメッセージを感じました。
主人公を演じた渡辺謙入魂の映画であり、原作者・山崎豊子のこだわり
の作品なのですね。


(うちらのひとりごと。) さん へ
企業内には、大なれ小なり様ざまな形態の理不尽があるかも知れませんね。
組織は、長期になればなるほど色々なしがらみが生じ、腐るもののようです。
血を入れ替えて循環させ活性化させる必要を感じます。
いまの官僚や政治家も同じだと思います。
iinaのひとりごとでした。
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TBありがとうございました (ゆっこ)
2009-11-08 13:20:43
はじめまして。
こちらからもTBさせていただきました。
原作はさらに良いです。ぜひお読み下さい。

しかし主人公のモデルになった人は、実際は遺族係は一度もしたこともないですし、相当筋金入りの組合委員長だったそうですね。
あくまでフィクションとしての、すばらしい人物像という捉え方がいいようです。

再建中のJ社が今また抱えている頭の痛い問題の1つが、年金カットなどに対する労働者側の強い反対だとすれば、この主人公のモデルの頑張ってきたことが裏目に出てしまっているのでは…という気もしてきて、なんだかやりきれません。
時代が変わってきていることに、大企業の中にいる人々だけが気づいていない、気づきたくないのかもしれません。
ともあれ、映画はとっても感動的でした。
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TBありがとうございました。 (sakurai)
2009-11-08 17:31:49
沈まぬ・・と言いながら、落日を感じました。
昨日、当地の空港の近くのサッカー場で、サッカーの試合を観戦していたのですが、すぐに頭上をJ○Lの飛行機が、飛んでました。
当然、ジャンボではなかったですが、なんだか感慨深かったですわ。
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Unknown (スナッチャー)
2009-11-08 22:13:54
TBありがとうございました。

山崎豊子さん作品は、モデルさがしも
興味深いですね。
この作品は、あきらかにJ●Lですが

関連記事にTBいただきましたので、
映画の感想の方を、TBさせていただきました。
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TBありがとうございます (vic)
2009-11-08 23:12:37
給料が高すぎるとか年金が高すぎるとか今、散々言われていますが
最初の組合の交渉シーンを見て、ここが始まりか!?と思ってしまいました。

鈴木京香はとても古風な顔立ちしているんですよね。ちょっと前の時代の日本女性を演じるなら彼女が一番だと思います。
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コメントに感謝 (iina)
2009-11-09 08:43:12
(ゆっこ)さん へ
10分の休憩は、トイレに行ったのですが、その間事故で亡くなられた方
の娘さん(ダイアナ湯川)がバイオリンを弾いていた知りませんでした。

労組が反対しても厚生年金基金を解散できるので、逆ザヤで積立金に不足が
生じている部分は補填すべきではありません。精々、一般の年金は保証
してもよいと考えます。
国民感情からいえば、一般の年金給付より相当に厚いので、受益者保護の
度合いを超えています。



(sakurai)さん へ
現在は会社がなくなってしまえば元も子もなくなってしまうために、組合が
労働環境や改善を強く主張し辛い難い時代であるらしく、組合費で積み立てた
活動費が相当貯まっているようです。
ところが、J○Lの組合は自分たちに都合の良い主張をしている風に映ります。



(スナッチャー)さん へ
数々の問題作を発表している山崎豊子のアンテナの感度は高いですね。

問題提起しても、なかなか解決策まで行き着かぬものです。



(vic) さん へ
>絶対、泣くから...と思って
構えて観たため、逆に冷静であったのかも知れませんね。

遺族たちを描くのは、客観的事実を淡々と触れているに過ぎず、触れて
なければ我々観客に何が伝わるのでしょう?

この映画は昔がよかったとは、ちっとも訴えていないように思います。
それを懐かしそうに感じたとなると、主題を浮き彫りにするため、当時
の環境、背景を描いたことが鼻についたということになります。
考えすぎのように思います。
もっとも、vicさんがこの映画の評価を良く思わなかったことで、その
総てがキライと下したように思えます。それはそれで仕方ないですね。m(__)m
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TBありがとうございます (まめ)
2009-11-09 19:50:17
はじめましてです。
TBありがとうございました。
早速、今日から原作を読み直しています。

またお邪魔しますね。
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TBとコメントに 返礼 (iina)
2009-11-10 10:15:49
TB(用件を聞こうか・・・)さん へ
休憩のある映画は久しぶりでした。
「ベンハー」「十戒」「アラビアのロレンス」「天地創造」等は休憩がありました。
「2001年宇宙の旅」もありましたか?
最近では、「レッドクリフ」や「チェ・ゲバラ」のように前篇・後篇を
2作品にして ちゃっかり儲けらてしまいました。
休憩があっても、一度の鑑賞で完結する映画が好ましいです。



(まめ) さん へ
長編『沈まぬ太陽』を読み直しとは早い対応ですね。

iinaは、いま「憑神」を読んでいます。
先日、テレビで放映された際、少しだけ観ましたが、途中で止めました。
でも、なんとなく気がかりで読むことにしました。
なるほど、浅田次郎の小説は隅々まで考察が行き届いていて原作は見事でした。

そのうち『沈まぬ太陽』山崎豊子の原作を読んで、お手並みを拝読したいと考えています。
ちょっとエラそうで失礼しました。m(__)m
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TBありがとうございます (Sawadey)
2009-11-10 20:41:27
トラックバックありがとうございました "沈まぬ太陽"のリアリティ性を考えると如何に経営層が馬鹿げた発想の元で企業経営を考えているかがよく分かります ちなみにモデルと言われる某航空会社の労働組合のWebを見ると過去の経緯を含めて問題点がよく理解できます 受け止め方は色々とあるでしょうが冷静に考えることが出来ます! 今後ともよろしくです!
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コメントとTBにお礼 (iina)
2009-11-11 09:25:05
(Sawadey)さん へ
本作では特定の企業内の不条理を扱っていますが、社会全般的な組織の
摩訶不思議な一面を捉えているようにも思えます。
こんな不条理に無縁であった方が幸せであり、身につまされた思いを
抱く方が少ないほうが健全ではあります。


TB(としちゃんの暇な一日) さん へ
小説を読んだ方には、映画の観方も一味ちがってきますね。
鬼気迫る演技をした田宮二郎の「白い巨塔」1978年~1979年は、テレビで
観ましたが結局山崎豊子の作品を読んでいません。
よく読んでから観るかとか、観てから読むかといわれる傑作は、比べてみる
のも面白そうです。
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TBありがとうございます (としちゃん)
2009-11-11 12:27:01
iinaさん、TB&コメありがとうございました。

映画化されるとかドラマ化されるとかって聞くと、ついつい本を買って読んでしまうのですが、スケールが大きい話はやっぱり本の方が内容が濃いなぁって思ってしまいます。
でも映画の方が話の本筋を描いていて、本よりわかりやすいって利点もありますよね。それと映像はやはりインパクト大!

どちらもいい面があるので、どっちも楽しみたいですね!
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